羅生門

2011年12月09日 金曜日

何度か見ているけれど、やっぱり話も画も良く出来ているなと毎度感心する「羅生門」。

一応は杣売りの志村喬の話が事実っぽいけれど、それさえも怪しく、やっぱり何が事実なのかは”藪の中”。その虚実を、同じ場面だけれど主観を変えれば誰もが綺麗に、また汚く主人公となる。誰にも納得する裏表の描き方。
それだけでなく撮影も、光と影の使い方、大雨の羅生門と静かな画の白州と込み入った森の中の対比、凝った構図やカメラワーク、今時な早さのあるカット割りと緩急をつけた編集等々も素晴らしい。
三船敏郎ははっちゃけて、台詞を喋るといまいちだけれど表情で語り、しょぼくれた志村喬は物悲しさ満載だし、森雅之は余り喋らないけれど目付きで語り、俳優陣も素晴らしい。ただ、京マチ子はいかにもこの時代の「私が女優よ!」的な演技で浮いている感じはしたが。台詞回しは、平安時代という事もあってか嘘っぽい時代劇語ではなく、普通の口調なのですんなり入って行く。ただ、舞台劇っぽい大仰さがあるけれど。

最終的に結構説教臭くなるけれど、演出的にも別視点で物語見せ、かつ何よりも画の作り、映像の美しさ、凄さに吸い込まれる、やっぱり良く出来た映画。

☆☆☆☆☆

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