ロープ

2011年12月02日 金曜日

アルフレッド・ヒッチコック初のカラー映画「ロープ(Rope)」。

はっきり言って話は意外な展開を見せるとかそういう類のモノではないので、それ程おもしろくは無い。初めの段階で「結局は見つかって終わるのだろうなぁ…。」という予想そのままで、展開よりも会話劇や演出や構成を楽しむ映画なのだろうと思う。この映画の撮り方はまさにそれを目指していて、1時間20分程を一場面ワンカットに見せる作りにしている。当然何十分も一気にフィルムを回せないので、途中で体に寄って画面を真っ暗にしてカットを繋ぎ、そうやってワンカットに見せる方法を取っている。ただ、一ヶ所だけ普通にカット割りがあるのが残念だし、何故?ワンカットに見せているので時間の経過もほぼ実際の時間経過と同じになっている。ただ、蝋燭減るのが早い様な気がするが。また、フィルムの切り替え時点で窓から見える動いていない書き割りの景色を昼から夕方、夜へと変え、その変化で気にしていなかった時間経過にハッと気付かされる。ただ、これが初めの昼間は非常に奥行が無く、如何にも書き割りっぽく興醒めなのだが、夕景から夜景の町並みは急に奥行きが出て非常に良い感じにはなる。
一場面ワンカットなのでカメラの動きは相当工夫してあり、まるで自分がこの話の登場人物となり部屋の中を歩いている様に縦横無尽に動き回る。移動や焦点合わせ等、撮影は相当大変だったと思われる分、効果は抜群。

この映画は映画と言うよりも、アパートの一室のみで、そこでの会話、ワンカットで、同時間で成り立っているので、まるで舞台劇を見ている様。ただ、如何にもなセットや、ライティングはわざとらしいし、セットなので天井が高過ぎで見えない、カメラ側の一面の壁が無くシットコムみたい安さがある等、もうちょっとそこら辺をどうにかして欲しかった所ではある。
話は予想を裏切らない展開で、動機も富裕層の痛い若者の暴走なのでおもしろくはないが、舞台設定やカメラワークと動きの構成を見ると、良く出来た映画だなと関心するし感心する。

ちなみに「プーロ」と言ってロープを操れる場面なんて無い。

☆☆☆☆★

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