ゴッドファーザー PART III
2011年10月21日 金曜日「ゴッドファーザー Part I・II」と見て、三日連続のゴッドファーザーは「ゴッドファーザー PART III(The Godfather Part III)」。
「I・II」がマイケル・コルレオーネの前期、中期で、「III」がまさしく後期、晩年と最後を描いた最終章。
前作から16年後の1990年という全てが本当に時間を経ての三作目なので、登場人物達も実際に年を取り、これが長編大河の最後だと感慨深くなる。アル・パチーノはこの時まだ50歳だけれど、年齢以上の老け方を見せ、そして徐々に痩せ、枯れて行く様子をまざまざと見せる演技は流石。今回は今までの無慈悲で一切表情を崩さないドンから、笑うし冗談も言うし、弱音を吐く様な、歳を取って丸くなっている。それを見て思い出されるのは一作目の父親ヴィト。父親を追いかけ、全てを手に入れる事無く終わる物悲しさが、特に父親と比べてしまうから尚一層哀しい。
更に次世代のドン、ビンセントを演じるアンディ・ガルシアもなかなか良い。父親のサンティノ・”ソニー”・コルレオーネの様な血の気の多さがあったジェームズ・カーンの面影を見せ、かつ、これまでの無慈悲で無表情なアル・パチーノの雰囲気も見せる。やっぱりアル・パチーノの方が表情や目力が強いけれど、アンディ・ガルシアも相当色んな事を試して来たんだと感じられる。「オーシャンズ11」から続くシリーズでアンディ・ガルシアが演じていたカジノのオーナーって、このアル・パチーノの影響が色濃く出ているんだろうなぁ。
話は当時の政界やバチカンの実際の出来事を基に作っていて、今までのマフィアの話よりも社会的で、更に余り出て来なかったマイケルの内面を描いている。でも、やっぱり嫌な話だし、恐ろしい映画。結局は誰かが救われる事は無いし、希望を描いてもそこには虚しさしか残らない。だからこそ心打つ話ではある。
この映画で一番気になるのはやっぱり娘のメアリーを演じた監督フランシス・フォード・コッポラの娘ソフィア・コッポラ。確かに演技は上手くは無いし、存在感は乏しいし、しかも映画出演は一作目の洗礼式に出ていた赤ん坊以来特に映画に出ていないのに娘役に入っているのだから、ゴールデンラズベリー賞受けるのはまあ納得。どれだけ父コッポラがドンじゃないけどごり押ししたのかわからないけれど、素朴過ぎて良いとこの世間知らずの令嬢っぽさがあって良いとは思うのだけれど。
「ゴッドファーザー」はマイケルがもがくけれど、結局は堕ちて行く物語。それを長時間、三作に渡って描き切った哀しくも恐ろしい大河ドラマ。これは一気に三作見ると繋がりや人間関係、思いが良く分かり非常に良かった。ただし時間は必要だが。三作見終わると一作目からもう一度見たくなってしまう。噛めば噛む程、しがめばしがむ程深みと味わいが増し、どっぷりと浸り、ずっしり心に来る映画。
☆☆☆★★