カンパニー・マン

2011年10月10日 月曜日

良く出来た映画だなと感心した「キューブ」の監督ヴィンチェンゾ・ナタリが「キューブ」の次に撮った映画という事で「カンパニー・マン(Cypher)」を見た。

これまた良く出来た映画。話の展開は本当は何処にあるのか、事実さえ何なのか分からぬまま一気に転んで行き、途中の徐々に分かり始める、変わり始める展開が飽きさせない様になっている。映像も、初めは真か嘘かを象徴するかの様に白黒を基調とした画作りから、事実が見え始めると白、色味の強い画に変わって行き、世界が変わって行く様子を見せている。
最後はジェームス・ボンドかよとちょっと笑ってしまい、そこへオチが着くのかというのは途中で分かってしまうが、それも初めからネタ振りが仕込んであるので上手い。

この主演のジェレミー・ノーサムの演技はなかなか良い。環境の変化から内面的に変わって行く人物を変化をつけて演じ、初め、中盤、終わりではそれこそ全く別人に見えた。しかし、基本的には弱く、心配性でもあるというのも表し、その小市民的な普通の男性が出ている分最後の主人公に笑ってしまうのだけれど。

良くないのはこの「カンパニー・マン」という邦題。これだと企業スパイの怪しい話だと勘違いしてしまいそうで、確かにそうではあるけれど、初めからSF的要素が仕込んであり、見ればそれと分かるのに、この駄目な「カンパニー・マン」という邦題が見る人にいらない予備知識や心構えを植え付けている。

こういう話はありがちだけれど、きちんと映像で、画的にも話的にも仕込んで見せていて、集中を切らせず見せ切るのではまり込むし、きちんと終わるので爽快。

☆☆☆★★

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