邪魔者は殺せ

2011年10月07日 金曜日

「第三の男」の監督キャロル・リードの監督映画という事で1947年の「邪魔者は殺せ(Odd Man Out)」を見た。

その当時のアイルランドでのIRAと警察の対立と、その中で生きる町の人々の群像劇。
明らかにIRAと警察の話が主軸なのだけれど、映画の初めに字幕で「これは普通の人々の話を描いた物語である」と出て来、当時としては相当気を使う、切り込んだ映画だったのだろうなと分からせる。ただ、最近の映画の様に無差別、無慈悲、残虐な内容ではなく、人々は基本的に親切なので今見てしまうと、殺伐とはしていない。むしろ思いやりのある悲劇として見てしまえるので、そこには違和感が出て来る。

主人公とその恋人の話としてはおもしろいのだけれど、この二人は初めと終わり位に注目が当たり、中盤は町の人々の話になるので、連続感が無くいまいち盛り上がりに欠ける。そもそもの強盗が、覆面もせずにあっさりと成功し、急に外に出たからクラクラして失敗し、すぐさま町中の人が誰が犯人で、顔を見たらすぐ分かる状態になっているので、何だか間が抜けている感じが強く、更にその後撃たれてゆっくりフラフラ街中を歩いて逃げ回るので、緊張感や悲劇感が少ない。
町の人は基本的に親切で、でも面倒とは関わりたくないので、その場面はあっさり過ぎて行くので何だったのだろうと思う事があった。後半の主人公に対する様々な思惑が交差する様になってからがおもしろかった。

画は美しく、特に夜の白黒の陰影が良い。昼から夜、雨から雪へと変わる設定、その時間の経過が悲劇を生んでいるようにしていてそこら辺は監督の上手さ。

画や構図、群像劇としておもしろいので、もう少し鋏が入ったら現在でもがっつり見れる映画になったのだろうと思う映画。

☆☆☆★★

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