アメリカン・サイコ

2011年10月06日 木曜日

前知識としては「題名からしてサイコな野郎が出て来るんだろうなぁ。」という位で、クリスチャン・ベールが主演だから見てみようと思った映画「アメリカン・サイコ(American Psycho)」。
これが非常におもしろく、良く出来た映画だった。

1980年代後半の好景気に沸くウォール街のヤッピーの徹底的な外見の作り上げや無駄にしか見えない良い物を持つ、良い生活をする事への欲求と張り合い等を皮肉たっぷりに描き、更にその一方で無関心や関係の希薄さを残酷に描き、主人公がアメリカン・サイコなのか、主人公を含めた周りの人間がアメリカン・サイコなのか曖昧としている話で、物凄く良かった。
最後はどちらでにでも取れる様、各所にネタ振りがあるし、どんどん壊れて行く主人公と何ら変わらない周囲の不気味さ等、散りばめ方も上手い。一応ビデオで「悪魔のいけにえ」が流れていてネタ振りはあるとはいえ、チェーンソウ持って追いかけ回すのには笑ってしまったが。でもやはり、名刺の出来の良さの細かい張り合い場面は、皆の表情、特にクリスチャン・ベールの表情とその後の行動が行ってしまっていて、最高に良い、そして最悪な場面。
上手いと思うのが、出来事や人が何らかの暗喩になっていて、それを読み取るのがおもしろい。「マシニスト」もそんな映画だったけど、それもやっぱりクリスチャン・ベールが行ってしまっていた映画だった。

やはりクリスチャン・ベールが良く、この映画でも彼の役作りのお馴染みになった体を作り上げまくって来て、かつ虚ろだったり、妙に高揚していたりの演技は流石。ただ若いからなのか、あんまり顔はかっこ良い感じがしなかった。
それとこの主人公の名前「Patrick Bateman」のBatemanって、この後バットマンをし、「ダークナイト」で大ヒットを飛ばす事を考えると暗示的。

サスペンス映画だけれど、何に対するサスペンスなのかが見ていると変わって行き、主人公はもちろんあれで、その他の人物にも感情移入出来ないのだけれど、物語として不条理だけど皮肉たっぷりで、映画として良く出来ているし、なかなかの秀作。

☆☆☆☆★

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