スティーブン・キングの悪魔の嵐

2011年09月29日 木曜日

スティーブン・キングが製作総指揮とこれ用の書き下ろしの脚本を担当した、一時間半のドラマ三本のミニシリーズという結構な大作な「スティーブン・キングの悪魔の嵐(STORM OF THE CENTURY)」がCS無料放送の日に放送していたので見た。

そこに住む人が誰もが互いの事を詳しく知っている様な小さな島の町に冬の嵐が間も無く来る時、一人の謎の男が現れ、次々と人々が謎の死を遂げて行く。

人の姿をした邪悪な者なんか如何にもスティーブン・キングだし、後半の展開は「シャイニング」的でもあるし、時間的にも力入れて作ったのだろうけれど、これが全くおもしろくなかった。まるで、短編を長編にして、二時間位の映画を無理やり四時間半に引き伸ばした様な退屈さ。謎の男の正体や目的は初めの方で何となく分かるのだけれど、それ以降何時間もそれで引っ張り、同じ様な事件が何度も繰り返されるので飽きて来る。展開も演出も必要と言うより、脚本に書いてあるから、四時間半の放送時間枠があるからの様な間延びでつまらない。
登場人物達も群像劇として皆が前面に出て来る位立っている訳でも無し、謎の男のするがまま、なされるがままで、抗う事もしない人々ばかりなので、見ていても熱が入る所が無い。この事態に一番対処しなくてはいけない警察担当の主人公でさえ、答えは「わからない!」、とにかく謎の男の話を聞くし、最後に抵抗するがそれも少しだけで、後は悲劇のヒーロー気取りで違和感が。
画面的に盛り上がるCGや特撮の部分は何だか急に微笑ましい感じになり、話の流れと乖離していて怖さが無い。空を飛んでいる所なんて、そこは嫌な場面なはずなのに可笑しくて噴出してしまった。

見終わっても「人は弱っている時に徐々に脅して行けば従順になる」「人間関係が濃い、人と人との繋がりが深いと、人は事なかれ主義に陥り、人としての大切な物を失ってしまう」という事位しか残らず、後味がジャリジャリする。
もしもこの後に「謎の男と島への主人公の復讐」の物語があり、それへと続く前日譚だったらこれはおもしろく見れたのだけど、これでお終いだと特に驚きも感動も無いまま。
これで全四時間半は流石にきつい。

☆★★★★

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