スルース

2011年09月30日 金曜日

老齢の推理小説家と売れない役者。この二人が、二人だけで意地や憎しみ、愛をぶつけ合う話。

非常に良く出来た映画で、人物設定、舞台、話の展開どれをとっても上手く配置され、その組み合わせの妙は見応えがある。感情や立場がすっと大きく変わって行き、地味だが劇的な内容にずっと最後まで目が離せない。この変化をマイケル・ケインとジュード・ロウが見事に演じている。ジュード・ロウは前半と後半で結構大きく違いを演じていて、その大きさが少し気にはなったけれど、確かに魅力がムンムン溢れている。やはりマイケル・ケインは派手ではないが力強く、ただ黙りじっとして動かないまま何十秒もそのままでも画が持つ存在感は圧倒的。
監督ケネス・ブラナーの演出も、前衛的だけれども長回しで汗が滲む様な緊張感があったり、あっさりしている所は素っ気無い程だったり、常に集中させる。

映画や物語は話の内容を多くは知らず見た方が良いけれど、これはまさにそんな映画。最後まで分からない展開、何が事実で本当は何処にあるのか、見終わった後のうなる後味、もう一度見れば脚本、演技がより分かるというとても上手い映画。

この「スルース(Sleuth)」は1972年の映画「探偵スルース」を再映画化した映画そうだが、その元の映画も元は舞台で、確かに見ていても舞台での芝居だと思わせる役者がいかに魅せるかという映画だった。

☆☆☆☆★

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