アウトロー

2011年10月01日 土曜日

クリント・イーストウッドと言えば70歳を過ぎてもますます元気で、最近でも監督業で賞を取るしの活躍。そんなクリント・イーストウッド36歳の1976年の監督、主演映画「アウトロー (The Outlaw Josey Wales)」を見た。

妻と子供を殺された男が復讐の為に北軍と戦い、南北戦争終結後も諦めず追われ続け、それでも戦い続ける逃避行。

前半は戦争が終わった後も一人で抵抗し、仲間は去り、殺され、陰鬱で重く、暴力や迫害が多いハードボイルドな展開なのだが、中盤位からその雰囲気が変わって来る。仲間が増え、周りのおしゃべりも多くなり、やがて平安の場所を見つけ出すという、意外と温かい、ほっこりとした話。ただ後半でも銃撃戦は熱いし、無慈悲で、次々と銃を抜き撃って行く姿はしびれる。
やはりクリント・イーストウッドは渋く、かつ甘く、かっこいいのだが、このイーストウッド誰かに似ていると思っていたら、髭を生やしたヒュー・ジャックマンが似ている。ちょうど映画「オーストラリア」での髭を生やし、カーボーイハットを被ったその姿はそっくり。

この映画のおもしろい所は、主人公が南軍というのもあるのだろうけれど、その後のアメリカを作った北軍の描かれ方が決して良い者ではなく、狡猾で残虐な策士やならず者だという事。それ以外にも、自分達の土地を追い出されて良い様にされる先住民達、政府は当てに出来ず自分達で何とかしようとする市井の人々等、1970年代の雰囲気バリバリで、これも自由主義者(リバタリアン)のイーストウッドの意図なのか、単なる撃ち合いの西部劇だけで終わらない濃さや重さを持っている。

この映画に出て来たソンドラ・ロックが綺麗だなぁと思っていたら、この人この映画を契機にクリント・イーストウッドを捕まえ、その後のイーストウッドの映画に頻繁に出る様になったで、複雑な気分に。

主人公の人物設定や初めの展開を見ていると、暗たんたる結末しか想像出来なかったが、話が続くに連れ爽快な西部劇になって行き、見終わった後清々しさが残るなんて思ってもみなかった。それぞれの人物がどんどん立ち、見せ場もありで西部劇としても、男の生き様、人間劇としても良作の映画だった。

☆☆☆★★

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