第9地区
2011年04月28日 木曜日「第9地区(District 9)」を見た。
もともとは、以前この監督ニール・ブロムカンプ(Neill Blomkamp)の「Alive in Joburg 」を見て、その南アフリカの中でのSF、機械のデザイン、ドキュメンタリー風の臨場感で一気に持って行かれたのだけれど、六分程の短編で非常にもったいないと思っていたら、それが長編映画になったので楽しみにしていたこの第9地区。
流石に凄い。「Alive in Joburg」を更に発展させ、その迫力、緊迫、展開、見せ場どれをとっても凄いという出来。
話は、もっとアクションの激しい「エイリアン・ネイション」だと思っていたら、むしろ「ザ・フライ」。あの嫌~な感じが全編に漂い、しかも南アフリカの差別問題を土台にしているので、更に嫌~な感じ。だから画的にエグいし、精神的にもエグい。そういった意味では、暗喩的に表現する王道的なSF。画的にも、どこまでが合成なのか見分けがつかない良く出来たCG、VFXで、しかもSF的機械を出すのだから、監督はツボ押しまくり。また上手いのが、この乾いたSFを引き立てる、登場人物の誰にも感情移入し難い所。誰もが悪く、誰もが悪くないという、がんじがらめで抜け出せない残酷さがSFを引き立てる。
確かに、燃料と主人公の変化を結びつけるのは大分無茶だとは思うが、そこも気にせず、させず一気に引っ張って行く。
見た目は一見派手なのだが、話は重く迫って来る。しかし、何処へ向かうのか見ている方へ飽きさせる事も無く、終わりまで一気に突っ走る。SF装置満載、SF的発想も満載で、後世でも語れる事の出来る非常に良く出来たSF映画。