アンダーワールド ブラッド・ウォーズ

2024年03月20日 水曜日

レン・ワイズマン原案・製作、アンナ・フォースター監督、ケイト・ベッキンセイル主演の2016年のアメリカ映画「アンダーワールド ブラッド・ウォーズ(Underworld: Blood Wars)」
シリーズ五作目。

長老達を殺した為にヴァンパイア一族からも狙われているヴァンパイアの処刑人セリーンは命を狙われている娘を自分さえも知らない場所に隠していた。
ライカン達をまとめたマリウスはヴァンパイア一族の元老院を倒す為、強い力を持つ血のセリーンの娘を探しており、居場所を知っているはずだとセリーンを追っていた。
元老院側はライカンから身を守る為に処刑人のセリーンの力を借りようと接触を図って来た。

三作目が千年以上前のヴァンパイア一族とライカン族の争いの大元を描いた話だったので、一・二作目の前編二部作からの四・五作目の後編二部作の完結編の様な最終作。

元々は三作目の配信が終わりそうだったので一作目から見始めて、一作目は結構おもしろかったんだけれどシリーズが進むに連れてドンドンと微妙になり、最終作のこの五作目は大分何だこれ…な映画だった。
今まで出して来なかった話を後出し後付けで次々と出して来るけど詳しく描かず、次々と先に進むのでまるで連続ドラマの総集編の様。

突然ヴァンパイア一族の元老院が出て来たけれど後付けなので、一作目や二作目で長老達が殺されたり復活したりの時は元老院は何してたの?全く役に立ってないじゃん…だし、前作での人間によるヴァンパイア掃討作戦の時も何してたの?とかも特に触れられもせず。
ライカンの方も前作でのライカンも掃討作戦で少数が地下で生き残っているだけだったはずが行き成りヴァンパイア一族を脅かす強大な勢力になっているけどこの説明も特に無く、色んな話が突然現れてしまっていて強引に今作用の設定に持って行っている感じばかり。
多分、前作が興行収入は良かったものの評判的には良くなかったので、前作の近未来感から一作目のゴシックなヴァンパイア一族と力で攻めようとするライカンの対立構図に強引に戻そうとしたからの前作からのぶった切りなのかなぁ。

前作からのぶった切りで言えば、前作は主人公セリーンとマイケルの間に出来た娘イヴを巡っての戦いで、今作でもライカンはイヴの血を狙っての戦いなのに、セリーンは娘を隠したと言うけれど何処に隠したのかは分かっていないと言う話になり、結局イヴは何処にいて何をしているのかとかはさっぱり分からず、争いの大元の張本人が一切出で来ないし説明も無いという訳の分からなさ。
前作だと何故なのかライカンは簡単にイヴの居場所が分かって直ぐ襲って来ていたけど、今回は全く分からないままとこっちも都合がいいし。

同じくマイケルも前作の最後の最後で逃げ出していた!で次回へ引っ張って終わったのにも関わらず、今作では初めから特に触れられもせず、最後になって実は殺されていました…で登場も無く終わりという余りにお座なりな結末にしてしまって、一作目からの大きな軸がこんな終わり方って酷過ぎる。
これはもしかして、一・二作目の監督でシリーズの製作者でもあるレン・ワイズマンが一作目が切っ掛けで一作目公開後の2004年にケイト・ベッキンセイルと結婚したものの2016年には離婚しているから、一作目からセリーンとマイケルを自分達に重ね合わせていたけどこの映画の時には蜜月は終わっていたのでこんな素っ気ない終わりにしたのかとうがってしまった。

セリーンのコルヴィナスから手に入れた超な力とか、セリーンのその力で甦ったデヴィッドもだし、ライカンの指導者マリウスも血によって新たな種っぽくなってはいるものの、それはだから無敵の強さなんです!の理由だけにしかなっていないし、聖なる世界って何?からの、そこを見ると瞬間移動の様な超速度で移動出来るようになるこれまた急な能力を足して来たりとか、各設定を活かした展開にする気も無い様で意味不明過ぎだし安っぽいしで非常にしょっぱい。

雰囲気は一作目の評判が良かった感じに戻して薄暗いゴシックな感じではあるけれど、ヴァンパイア一族の中に権力を狙って裏切り者がいるとか、ヴァンパイアとライカンで惹かれ合っている者がいるとか一作目の焼き直し感と言うか、使い回し感が強かったりしておもしろくはない。

一人のヴァンパイアはヴァンパイア一族内での権力を巡って身内殺しまでやっているのに、デヴィッドが長老の息子だと分かった瞬間に寝返ってしまい、最早いなくて影響力も無い長老の血統だと言うだけで何も権力も無いのに指導者になってしまうデヴィッドとかもついて行けないし、見ていると結局ヴァンパイアとライカンって何で戦っているの?と思ってしまう描きの薄さ、無さで終始乗って行けず仕舞い。

この映画、シリーズでずっとやって来たセリーンとマイケルの関係をぶん投げてしまったし、その二人の娘の話もぶん投げて、セリーンは強くてライカンをやっつけました…と言う、そんな事じゃあない結末やってしまった酷いシリーズ最終回だった。

☆★★★★
 
 
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