アンダーワールド: エボリューション

2024年02月26日 月曜日

レン・ワイズマン監督・脚本、ケイト・ベッキンセイル主演の2006年のアメリカ映画「アンダーワールド: エボリューション(Underworld: Evolution)」
シリーズ二作目。

前作でヴァンパイアの長老の一人ビクターに長年騙されていた事を知ったヴァンパイアの処刑人セリーンはビクターを殺した事でヴァンパイア一族から追われる身となった。
人間だったマイケルはライカンに噛まれた事で狼男化し、更に助けられる為にセリーンに噛まれた事でライカンとヴァンパイアの特徴を持つ事になり、セリーンとマイケルは二人で行動し始めた。
ヴァンパイアの屋敷ではライカンの死体から流れ出た血によって休眠状態だったヴァンパイアの長老の一人マーカスが復活。
マーカスはヴァンパイアの始祖であり、ヴァンパイア一族によって長年幽閉されていたライカンの始祖である双子の弟ウィリアムを助け出そうとし、マイケルが持っているウィリアムの牢獄の鍵を狙ってマーカスはセリーンとマイケルを襲い出した。

一作目がライカン一族とヴァンパイア一族の争いの話を軸に、信じていた人に騙されていた主人公セリーンと惚れたマイケルの行方等を描いたアクション部分よりも巡って行く因縁の話が結構おもしろく、その直後からの続編なんだけれど、話は一作目に出て来たヴァンパイアとライカン誕生の起源が軸となり、これが前作よりも話がより大きくなりそうな雰囲気があったのに結局親子三人の小さい話となり、しかもそんなにおもしろい話にもなって行かずで、前作よりも予算が増えたからなのかアクションが多めとなって、せっかくの一作目のおもしろい部分が減ってしまって結構いまいちだった。
一作目ではセリーンとマイケルの関係性の描きが薄かったにせよ、二人はどうなるの?で引っ張って行けたけれど、今回はもう二人が引っ付いてしまっているのでこの関係性での面白味が無く、しかも今回もセリーンは大した危機に陥る事も無く強く、マイケルも自由に変身して強過ぎで致命傷でも生き返るしで、結局二人共最強で生き残るのでドキドキ感は無く、二人のアクションも増えて見せ方も工夫しているけれど大しておもしろくなくてワクワク感も無かった。

主軸の話も、マーカスが襲って来ては逃げて行きの繰り返しでつまらないし、鍵の争奪戦もおもしろい展開は無いしで、一作目みたいに各勢力の状況が変わって行く様な転がる展開が無い一直線の話でおもしろくはなかった。
そもそもライカンになって制御の効かないウィリアムを解放してもこの前の繰り返しになるだけで何の対策も無いマーカスって結局どうするつもりだったのか?とかは全然描かずに結局弟だから以上の説明も無いままで、父親のアレクサンデル・コルヴィナスもそうだけれど血族だからで押し通された感じで今回は脚本が大分いまいちだった。

他にも、一作目で重要人物だったクレイヴンは初めであっさりマーカスに殺されて終わりとか使い捨てだし、ヴァンパイア一族もマーカスにあっさり全滅させられ、マーカスは血を飲んで記憶を見る事は出来るけれど数百年経って右も左も分からない世界で配下がいた方が何かと便利なのに何で手下を皆殺しにしているの?とか、ヴァンパイア一族とライカン一族との戦いが見所だったはずがほとんどライカンも出て来ないし、ヴァンパイアもほとんど出て来ずで、一作目のおもしろかった部分をわざわざ無くしてまで今回の話にする必要ってあったの?と思ってしまった。
一作目で出したは良いけれど二作目を作る段になっていらなくなったモノをサッと捨てて二作目の話に持って行った感じがしてしまった。
今回の話のほぼそれだけだったマーカスとウィリアムも最後の終わり方もあっさり過ぎて物足りなさ過ぎたし。

ちょっとおもしろかったのはヴァンパイアとライカンの扱われ方。
ヴァンパイアの始祖のマーカスは自由に変身して空まで飛べちゃうけれど、そのマーカスから誕生した子孫的な他のヴァンパイアは変身はしない一方で、ライカンの始祖のウィリアムはライカンになったらそのままで自身の制御も出来ないけれど、ウィリアムから誕生した子孫的な他のライカンは自由に変身出来、ヴァンパイアとライカンは始まりからその後まで正反対の特性になっている。
それに一作目でもヴァンパイアがヴァンパイア的な身体能力を発揮したり血を吸う場面もほどんどなかった一方で、ライカンは変身してワラワラと攻撃して来て、今回でも主なヴァンパイアってセリーン位で後はライカンか、ウィリアムによってライカン化した人か、ほとんどライカン寄りのマイケルかで、監督のレン・ワイズマンって元々ヴァンパイアよりもライカンの方が好きなんじゃない?という扱いで、ヴァンパイアにあんまり興味が無くて本当なら狼男映画をやりたかったんじゃあないの?と思ってしまった。
ただ、レン・ワイズマンは2004年にケイト・ベッキンセイルと結婚しているので、ケイト・ベッキンセイルを目立たたせる為にヴァンパイアはセリーンだけでいいと思ったのかしらん。

レン・ワイズマンで言えば、他の映画でもたまにあるけれど監督と付き合っている、結婚している女優を主演で使い、しかも映画でその女優のベッドシーンを挟み込む監督がいるけれどその感覚って何なのだろう?
夫ならそんな妻を見たいのだろうか?
自分の妻が他の男に抱かれている場面を撮影して大公開する事に興奮を覚えるからやっているのだろうか?

この映画、一作目の後半の展開が結構おもしろかったのでそういう展開を期待して見たら単調なアクション映画になっていて大分不満足。
色々とおもしろそうな要素はあったのに全然跳ねなかった感じだった。
それにしても、一・二作目でヴァンパイアとライカンの誕生からこれまでを描いたのに、この続編でそのヴァンパイアとライカンの切っ掛けを描く必要あるの?と思ってしまうし、ヴァンパイア一族もライカン一族もほぼ崩壊状態になった後で更に二作も続編あるって何するの?だしで、この二作目でその後の映画に対する期待は大分減ったので、もう今後の映画は確認作業になってしまうのかなぁ?

☆☆★★★
 
 
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