ジャッキー・チェンの秘龍拳/少林門

2022年09月12日 月曜日

ジョン・ウー監督・脚本・出演、レオン・タン主演の1976年の香港映画「ジャッキー・チェンの秘龍拳/少林門(The Hand Of Death)」

清の時代になると清は少林寺を弾圧し始めた。
少林寺で拳法を学んだシー・シャオフェンは少林寺を裏切って清側につき、少林寺の門徒達を次々と殺して行った。
逃げ延びたユン・フェイは拳法を学び、清を倒す為に動いているチャン・イーを助け、シー・シャオフェンを倒す為にある村へと赴いた。
その村ではシー・シャオフェンの部下達が暴れており、ユン・フェイは彼らに兄を殺された青年や愛する女性を死なせてしまった剣士を味方に付けてシー・シャオフェン一味と戦おうとする。

この映画は映画自体はそんなにおもしろくはなかったけれど、色んな部分でびっくり。

まず、題名に「ジャッキー・チェンの」と付いているからジャッキー・チェンが主演かと思って見たのにジャッキー・チェンは脇役で主役は別にいる。
しかも、若い時代のジャッキー・チェンは目が小さいと言うか、腫れぼったいと言うかで、これ本当にジャッキー・チェン?と思ってしまう位その後のジャッキー・チェンの顔とは何か違う。
ただ、演技やアクションはジャッキー・チェンなので少し引いた映像だとジャッキー・チェンと分かるけれど、顔に寄るとジャッキー・チェン?となってしまう不思議な感じ。
ジャッキー・チェンのやられた時の痛がる顔芸はこの頃からだったのは感心。

主人公演じるレオン・タンは小柄でほとんどの役者から頭半分位背が低く、しかも体も小さいので強い主人公感が無い。
アクションも変な間があったり、いまいち迫力に欠け、若いジャッキー・チェンの方が上手い気がした。

サモ・ハン・キンポーが敵役で出て来るのだけれど、初めは凶暴な無法者だったのが暫くすると主人公の力を認めて気に入り仲間に誘い出して単なる悪い敵ではなく、少し頭の悪い情のある乱暴者というジャイアンみたいな可愛らしさが出て来た役だったのはおもしろかった。
サモ・ハン・キンポーは分かりやすい悪役の象徴として少し出っ歯の入れ歯を付けているのが昔の香港映画感が溢れている。

見ていて気付かなかったけれど後から調べて知ったのが、ジャッキー・チェンとサモ・ハン・キンポーだけでなくユン・ピョウも出ていたのにもびっくり。
何処で出ていたのか気付かなかったのでザっと見直してみたら、シー・シャオフェンが弓の練習している場面でお茶を出して矢で射抜かれる役がユン・ピョウだった。
この役が何処の回し者だとか、シー・シャオフェンを暗殺しようとしていたのは誰とか一切振りも無いし、その後も触れられずで無理矢理入れた様な場面ではあった。

更に後から調べて知って一番びっくりしたのはこの映画の監督がジョン・ウーだと知らず、しかもジョン・ウーは主人公達が守ろうとしたチャン・イー役で出演までしていた事。
そう言えば、脇役の背景を長く描いたり、大事な人を殺されての復讐で戦うけれど次々と死んで行く仲間のハードボイルド感とかってジョン・ウーっぽさなんだろうか?と思ったけれど、この時ってジョン・ウーが自分で役者までしていたのか。
ジョン・ウーって歳を取ってからの姿は何となく知っているけれど、この時29歳で、若い時って結構痩せていて精悍な感じだったとは知らなかった。

話は、悪い敵を倒そうとする主人公が単身敵地に乗り込んで多勢に無勢で逃げ帰って敵を想定した修練を積んだり、哀しい過去を持つ特徴のある仲間を集めて、更に主人公用の対ボス戦の武器を作ったり、鈍らになった剣士の剣を研ぎなおし、八虎将や二人の隊長と戦い、最終的に主人公とボスの一騎打ちとなるという非常に熱い設定や展開なのに何故かあんまりおもしろくない。
今見てしまうからの間延び感を感じてしまう部分はあるのだろうけれど、アクションがいまいちおもしろくないのが大きいのだろうか?
ジョン・ウーがまだ若手でカンフーの見せ方が上手くないのかと思ったけれど、ジャッキー・チェンのアクション部分は結構おもしろかったから主人公役のレオン・タンとボス役のジェームズ・ティエンの二人が何かいまいちだったのかもしれない。
最後の一騎打ちは展開としては盛り上がるはずなのにしょっぱさも感じてしまった。

この映画、日本では劇場公開していないみたいなので、その後のジャッキー・チェン人気で世に出せたと思われるのでこの題名も仕方無いのかなとは思う。
話自体は何だか盛り上がらずで大しておもしろくないけれど、若い脇役のジャッキー・チェンやサモ・ハン・キンポーを見るにはおもしろかったし、同じく若い時のジョン・ウーの監督映画としてやジョン・ウー自身の出演作として見ると、その部分では楽しめた。

☆☆★★★

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