バットマン ビギンズ

2022年08月27日 土曜日

クリストファー・ノーラン監督・脚本、クリスチャン・ベール主演の2005年の映画「バットマン ビギンズ(Batman Begins)」
DCコミックスのバットマンの映画化。
ダークナイト トリロジーの一作目。

ゴッサム・シティで大企業ウェイン産業を所有しているトーマス・ウェインは妻との息子ブルース・ウェインとでオペラを見に行き強盗にあってウェイン夫妻は殺されてしまい、幼いブルース・ウェインだけが生き残った。
大人になったブルース・ウェインは犯罪者と戦う為に世界を放浪して犯罪者達の中に潜り込んで犯罪者の考えや行動を学んでいたが逮捕され収監された。
そのブルース・ウェインの下にラーズ・アル・グールの代理人が現れ、悪と戦う組織影の同盟へと勧誘された。
ブルース・ウェインはヒマラヤへと赴き、影の同盟に戦い方を教わった。
影の同盟はブルース・ウェインが組織に加わる為に殺人犯の処刑を命じたがブルース・ウェインは拒否し、影の同盟の拠点を破壊してしまった。
ゴッサム・シティに戻ったブルース・ウェインはウェイン産業に入ってウェイン産業の技術を使って装備を集め、犯罪者に恐怖を印象付けるためにバットマンとして犯罪者と戦い始めた。

以前、この映画を見た事がある気がするのだけれど、Amazon プライムビデオでダークナイト トリロジーの三作の配信が終わりそうだったので一作目から見てみる事にした。

題名通りにブルース・ウェインがどういう境遇で、何を思ってバットマンになっていったのかをじっくり描いていて、アクションもありつつブルース・ウェインを中心とした人間関係やそれぞの人物の葛藤や想い等が軸として描かれ、人間ドラマとしても非常におもしろかった。

父親がゴッサム・シティを何とかしようとしていたのに殺されてしまい、その思いを受け継いでゴッサム・シティを救う為にバットマンになるブルース・ウェインの動機が分かりやすく描かれ、ルーシャス・フォックスの協力を得てバットマンの装備を集めたり、アルフレッド・ペニーワースとバットマンの装備やバットケイブを作って行く工程とかはワクワクしたし、堕落した警察の中で何とかやっているジェームズ・ゴードンを味方につけて行ったりと、孤独なダークヒーローの印象がありそうなバットマンって、アメコミの方でもバッツファミリーと言われている位協力者や仲間が多いというのも描いていて、バットマンとその周辺が作られて行く過程がちゃんと描かれていて良く出来ていた。

ただ、じっくりと現実味で描いて行く分だけに引っ掛かる部分が出て来ると結構つまづいてしまった。
影の同盟がヒマラヤで忍者で行き成り「う~ん…」となったし、渡辺謙のラーズ・アル・グールは偽物でリーアム・ニーソンが本物のラーズ・アル・グールでした…が「だから何?」でこの意図がよく分からなかったし、結局渡辺謙のラーズ・アル・グールって何の目的でラーズ・アル・グールを演じていたのかもよく分からず、この偽ラーズ・アル・グールを出す必要性がさっぱり分からなかった。

スケアクロウになったジョナサン・クレインも、アーカム・アサイラムで収容者を使って何かの実験をしていたみたいだけれどそこは深堀されず、あの不思議な粉はどうやって作ったのかとか、金で影の同盟に協力したとかは言っていたけれどそもそもの動機がよく分からず、結局スケアクロウもジョナサン・クレインもよく分からないままでお座なり。

前半で両親の殺害の犯人がジョー・チルで、ジョー・チルはカーマイン・ファルコーニに繋がり、ファルコーニからブルース・ウェインがバットマンになって行くというのを描いていたから後半でこの流れの決着をつけるのかと思いきや、ファルコーニは薬でおかしくなりました…で以降は全く描かれずで、前半の大事な流れの結末が描かれないのも不満。

この色々な要素を入れて色々出しておきながら後がお座なりって脚本家のデヴィッド・S・ゴイヤーっぽいと言うか、デヴィッド・S・ゴイヤー臭がすると言うか、わたしのデヴィッド・S・ゴイヤーの評価が極端に低いからそう感じたのかしれないけれど、実際この映画以降の続編の二作はデヴィッド・S・ゴイヤーは原案だけで脚本には入っていないので、そういう事だったのかと思う。

それにバットマンの映画だから仕方ないとは言え、あれだけ前半をじっくり描いて、ゴッサム・シティに戻って「さぁブルース・ウェインどうするの?」となった時にバットマンのスーツを作り、コウモリ型のバットラングを一つ一つ手作りで作る非常に変質的な程のマニアックさはやっぱりヘンテコな感じ。
バットマンが出て来るとどうしても珍奇なコスプレ自警団になってしまうので、それまでの流れが急にぶっ壊れる感じが少々あった。
ここまで現実感で作ったのなら思い切ってバットマンの造形をもっと変えても良かったのでは?とも思ってしまった。

あと、脇を濃いベテランの役者陣で固めていて、登場人物が新たに出て来る度にニヤニヤしてしまった。
マイケル・ケイン、リーアム・ニーソン、ゲイリー・オールドマンモーガン・フリーマンルトガー・ハウアーと彼らの存在で映像的にも重厚さが出ていたのは間違いないけれど、揃えた感と言うか、配役に力入れました感が凄くて、その濃厚さでニヤニヤ。
ケイティ・ホームズはわたしはそんなでもなく、それよりもスケアクロウ役のキリアン・マーフィーがベテラン陣に負けず濃さを発揮していた感じがした。

見ていて感じたのは、ゴッサム・シティって現実のニューヨークのあだ名だからニューヨークの印象があるのかなと思ったけれど、何だかシカゴっぽかった事。
この映画で架空の高架鉄道を走らせていたけれど、実際のシカゴでも高架鉄道のシカゴ・Lが走っていて、アメリカで高架鉄道と言えばシカゴの印象になっているからで、この映画での実際の撮影もシカゴでの撮影が多かったそうだけれどシカゴで撮影するから高架鉄道を映画に入れたのか、高架鉄道の発想が先で、じゃあ撮影はシカゴにしようだったのか、どっちなんだろう?

それと、エンド・クレジットでは「BATMAN CREATED BY BOB KANE」と出ていて、この2005年の時でもまだボブ・ケインだけでビル・フィンガーはクレジットされていない時だったか…と、良くない方のバットマンの闇を最後に感じてしまった。

この映画、じっくりとバットマンの誕生を描き、クリスチャン・ベールを始め役者陣の濃さで見応えがあるし、ちゃんとバットマンが活躍して悪者を倒すヒーロー映画にもなっているし、ガジェットの楽しさもあるし、次回作のジョーカーの登場を期待させて終わるなんて抜群の締めだしで、バットマンの一作目の映画としては非常に良かった。

☆☆☆★★
 
 
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