ダークナイト

2022年08月29日 月曜日

クリストファー・ノーラン製作・監督・脚本、クリスチャン・ベール主演の2008年の映画「ダークナイトThe Dark Knight)」
ダークナイト トリロジーの二作目。

ブルース・ウェインはバットマンとして活動し始めた事で汚職が蔓延るゴッサム・シティの中でもゴッサム市警のジム・ゴードンがバットマンに協力し、検事のハービー・デントも犯罪撲滅に熱心になり、徐々に犯罪者達が捕まり始めていた。
そんな中に謎の犯罪者ジョーカーが現れてゴッサム・シティのマフィア達の金を盗み出した。
対策を話し合うマフィア達の元にジョーカーが現れ、マフィア達が追い詰められ始めている元凶であるバットマンを殺すので金をよこせと要求して来た。
マフィア達がジョーカーの提案を受け入れるとジョーカーはバットマンが正体を明かすまで市民を殺し続けると脅迫し出した。

Amazon プライムビデオでダークナイト・トリロジーの配信が終わりそうで、確か以前に一作目の「バットマン ビギンズ」を見たはずだったけれど、それ以降は見た記憶が無かったので、一作目から続けて見てみた。
世間ではこの映画が傑作だとやたらと評価が高いのを知っていたので異常な程に期待が高かったり、こっちもどんなもんだ?と構え過ぎて見てしまったからか、確かにおもしろかったけれどそこまでなのかとも思ってもしまって、わたしの中では結構微妙な所になってしまった。

一作目よりもブルース・ウェイン周りの人間をじっくりと描き、特にジェームズ・ゴードンやハービー・デントが良い者側の主人公じゃないかと思える位に描き、そこに正にジョーカー的に神出鬼没であらゆる事が自由自在のジョーカーという強烈な悪役が出て来てバットマン対ジョーカーの映画としては非常におもしろかった。

そのジェームズ・ゴードン、ハービー・デント、ジョーカーが強烈な分だけブルース・ウェインやバットマンの存在が薄くなり、バットマンは活躍しているけれど見終わると何かバットマンの印象が薄い感じで終わってしまい、強烈な主人公バットマンの映画と言うよりも群像劇感でバットマンが物足りない気がした。

それに、この映画がジョーカーが常に先手を打ってかき乱すという映画なので当然なんだけれど、「ジョーカー出て来る → 皆で追いかける → ジョーカー逃げ切る」とか、「ジョーカー捕まる → ジョーカー逃げる」という展開が結構続き、これだと「バットマンや警察側がやりました!」の展開の次に「バットマンや警察側がやられました…」の展開になってバットマンや警察側が間抜けに見えて来てしまったり、ジョーカーがやたらと用意周到過ぎで、実行には大勢の人が必要だったり、時間をかけないと無理だろという事も短時間で出来てしまっている展開の為の都合の良さがどうにも乗って行けない部分だった。
流石に建物が倒壊する位の大量の爆薬を病院に仕掛けているのに誰一人として気付く事無く爆破成功させていたけれど、爆破という派手な映像やジョーカーを見せる為の見せ場として必要だとしても、ちょっと見せ場の為の都合の良さを感じてしまって結構白けてしまったし。
元々わたしが他の映画やドラマでも行っちゃってる犯罪者が常に先手を取って、賢いはずの主人公側の人々が翻弄されまくるという展開になると物凄く醒めてしまうからというのもあるんだけれど、このジョーカーの感じは終始乗っていけなかった。

後から思い返すと香港でのやり取りって展開上別に必要無かったのでは?と思ったけれど、これってバットマンの見せ場が少ないからバットマンを見せる為に入れたのかな?とも思った。

あと不満だったのが、ヒース・レジャーのジョーカーは行っちゃってるヤバさは抜群なんだけれど、ジョーカーなのにジョークは言わないし、変なブラックユーモア的な事をしない終始真面目なジョーカーだった事。
だったら別にジョーカーでなくともよくない?と思ってしまった。
ジョークだったらアルフレッド・ペニーワースの方がジョーカーだったし。

笑ってしまったのがバットマンの方で、バットモービルで頑張らないといけない時に運転席が前の方に潜って行って、そっちの方が運転し辛いんじゃないの?と思う変形マシン感とか、そのバットモービルが大破すると中から無傷でバットポッド出て来たりとか実用感は無い無駄に凝っているのが最早ふざけてる様に思えてしまったし、犯罪者には強いのに犬に何度もやられまくるのには笑ってしまい、特に何度も犬にやられるって何か意味があったのかしらん。
ジョーカーの捕まって逃げる展開とか、この犬にやられるとか、一作の映画内で何度も同じ事を繰り返すのって何の必要性なんだろうとずっと考えてしまった位必要無い天丼に思えた。

それと一作目に続きスケアクロウになってしまったジョナサン・クレインも出て来たけれど、これではただの薬物の売人になってしまっていて、結局一作目のジョナサン・クレインが何をしたかったのかとかはよく分からないままだし、一作目でお座なりな退場だったので続編でけり付けましたよ的に逮捕されて終わりというちょっとの出演にも笑ってしまった。

もう一つ不満だったのが、レイチェル・ドーズ。
役者が一作目のケイティ・ホームズからマギー・ジレンホールに変わっていて、役者の降板は仕方ないとは言え流石に続編で別人はキツイよなぁ。
一作目でのケイティ・ホームズが結構酷評されたらしく、ゴールデンラズベリー賞で最低助演女優賞に入れられてしまった位だったから首切れたのかなぁ?
だけれど後任のマギー・ジレンホールが良いという訳でもなく、このレイチェル・ドーズを見ていても大富豪でバットマンのブルース・ウェインとゴッサム・シティの正義の顔になって来たハービー・デントの二人が惚れていたのが全然よく分からない魅力が見えて来ない人物なのはどうなの?
ブルース・ウェインは幼馴染というのはあるけれど、今回はレイチェル・ドーズの検事としての活躍がほぼ無しでハービー・デントは何に惚れたんだろう?

そう言えば、一作目でゴッサム・シティに高架鉄道が行き渡っていたけれど今回はその高架鉄道が無くなっていたのは前回で酷い使われた方して終点近くの一部が壊れたので全線廃止にしたんだろうか?
特に説明も無く、一作目の無かった事感が凄かった。

この映画、大失敗はわたしがこの映画の公開時位の時期に見なかった事。
映画はバットマン対ジョーカーとしてはおもしろいのだけれど、公開から既に十五年近く経って世間のやたらと傑作だという意見を知ってしまってからの異常な程の高い期待から見てしまったので、逆にそうか?になってしまった。
この映画でのバットマンとジョーカーは表裏一体とか、正義と悪との曖昧さとかや葛藤ってアメコミのバットマンでずっとやっている印象があるからか、そのバットマンとジョーカーを描いたアメコミ映画としては良く出来た映画だとは思ったけれど、寧ろバットマンっぽいしアメコミっぽいけれどそれ以上なんだろうか?とは思ったし、既に三部作と知っているので三作目でどう締めるんだろう?が先にあるからか中間地点の二作目だと思って見てしまってそんなでもなくなったのだろうかで見る前の異常に高かった期待値を超えなかったのだろうなぁ。

☆☆☆★★
 
 
関連:バットマン ビギンズ
   ダークナイト ライジング

« | »

Trackback URL

Leave a Reply