アイランド
2022年06月03日 金曜日マイケル・ベイ製作・監督、ユアン・マクレガーとスカーレット・ヨハンソン共演の2005年のアメリカ映画「アイランド(The Island)」
地球は汚染されてしまい、生き残った一部の人間は全てが管理された施設で暮らしていた。
その人々は無作為の抽選で汚染されていない島「アイランド」に行く事が出来、皆はそれを心待ちに望んでいた。
その中のリンカーン・6・エコーは生活に満足しながらも何かの不安を感じていたが、ある日施設の工場で生きた蛾を見付けた事で汚染された外部で虫が生きている事を疑問に思い始め、施設の普段足を踏み入れる事のない場所に潜り込んだ。
そこでリンカーンは「アイランド」に行ったはずの人が臓器摘出の手術を行なわれ、妊娠した女性が子供を産んだ後に殺されるのを見てしまった。
リンカーンは日頃から仲が良く、「アイランド」への抽選に当たったジョーダン・2・デルタを連れて施設から逃亡。
外の世界は汚染等無く、人々が普通に暮らしていた。
Amazon プライムビデオで配信が終わりそうだったので、SFだと思う位の前知識で見てみたけれど、序盤はユートピアと思った世界がディストピアだったという王道SFだったのが中盤からマイケル・ベイらしいカーチェイスとアクション映画になり、結果王道のハリウッドのアクション映画に収束して行くという展開でつまらない訳ではないけれど、そんなにおもしろい映画でもない映画だった。
始まりは、管理された世界で気の良い人々が感情が乏しい人間に管理されているという時点で何かの虚構の世界だと直ぐに思ったけれど、それが臓器や子供を作り出す為のクローン人間を作り出す施設だったという世界のバラシ方は、「で、どうなるんだ?」で結構興味を持って見れていた。
そこから主人公達が外に出たら何故か超人的な体力を発揮して逃げ続けても疲れず、自動車が真っ二つになる様な事故でもビルの何十階から落ちても平気な主人公達が警察とも銃撃戦をしながら追って来る特殊部隊と銃撃戦とカーチェイスになり、それまでのディストピアSFからの急激な方向転換には笑ってしまった。
で、最終的には何故か主人公と科学者であり経営者の医師のバーナード・メリックが直接対決で勝敗を決めるアクション映画になり、主人公がクローンを外の世界に出してめでたしめでたしと、まあよくあるハリウッド映画になってしまったと言うか、マイケル・ベイっぽい大味なハリウッド映画になっていて、序盤と見終わった後では印象が全然違うのは笑い所。
初めに結構おもしろいと思ったクローンと臓器のSF部分も、あれだけ手間暇かけて大規模な施設作って大勢で運営管理していたら収支的に大分損が出ているんじゃない?とか、何故クローンをあの培養液の中だけで育てないのか?とか、あれだけの人がいてクローンだから何の罪悪感も無い人々ばかりとかの、その前提が無いと話が進まないからという設定のツッコミ所があったりするし、依頼人と全く同じクローンなのに両方捕まえて詳しく検証もせずにその場で撃ち殺してしまう追跡部隊とか、その追跡部隊の隊長はこれまで敵だったのに終盤で突如奴隷の設定が飛び出して来て主人公に味方したりと、終盤でも何じゃそりゃ?な事も多かった。
役者は流石に製作費をかけた大作だけあって、ユアン・マクレガー、スカーレット・ヨハンソン、ショーン・ビーン、スティーヴ・ブシェミ、マイケル・クラーク・ダンカンと有名所を使っていたけれど、この中だとマイケル・クラーク・ダンカンの役って思わせ振りな最初の登場なのに特に必要な役でもなくてマイケル・クラーク・ダンカンでなくともいいという変な配役。
主人公の友人ジョーンズ・3・エコー役だったイーサン・フィリップスって、「スタートレック:ヴォイジャー」のニーリックス役だった人か。
何処かで見た事ある様な、無い様な…だったけれど、ニーリックスは常に特殊メイクだったからか。
吹き替え版だとちゃんと同じチョーさんなのか。
この映画、金持の為の臓器の為のクローン人間だったという展開はSFとしておもしろかったものの、それ以降がマイケル・ベイのアクション映画になってしまって変な方向転換と言うか、マイケル・ベイ製作・監督だからそうなるしかない方向転換で、見終わるとマイケル・ベイのアクション映画見たなという感想になってしまい、入口と出口の感想が全く違ってしまう映画だった。
☆☆★★★