マネーモンスター

2021年09月27日 月曜日

ジョディ・フォスター監督・出演、ジョージ・クルーニー製作・出演の2016年のアメリカ映画「マネーモンスター(Money Monster)」

テレビの金融番組の司会をしているリー・ゲイツは軽快な喋りで人気を得ていた。
ある時アイビス社の株が暴落し、8億ドルの損失が出ており、アイビスのCEOは株取引のプログラムのバグ(グリッチ)によるものだと説明していた。
何時も通りにリー・ゲイツは番組を始めたがスタジオに見知らぬ男が乱入。
男は銃を持っており、リー・ゲイツに爆弾が付いたベスト着せて人質に取った。
男はアイビスの株で損をしており、リー・ゲイツの口車に乗せられて損をした事を恨んでいた。
番組のディレクターのパティ・フェンは男の言う通りに番組を続け、リー・ゲイツに男を刺激しないように指示。
男は何故こうなったのかを解明しろと要求し、パティ・フェンが様々な人々と連絡を取ってアイビス社を調べて行くと不審な部分が出てき始めた。

ジョージ・クルーニーとジュリア・ロバーツが共演という事だけで見てみたけれど、とてもおもしろいサスペンスだった。

始めは生放送のテレビ番組を番組ジャックし、スタジオ内での人質犯と人質となった司会者の会話劇で進めて行き、ここだけでも緊張の上げ下げでスリルがあり中々おもしろい。
調子が良く喋りまくりの、最早コメディアンの司会者を延々と見せておいて、犯人が入って来て銃と爆弾と犯人の境遇の前にはその口先も役に立たずになってしまう展開や、司会者が視聴者に訴えかけてアイビスの株価を上げようとするけれど結果下がるという、株式はそんなに綺麗事でも単純でもないという展開とか、画変わりが無い密室劇でも上手い所を突く展開にして飽きさせない。

そこからどうやら株の暴落はグリッチではなく人為的な策略らしいと分かり始め、ディレクターが外の人を使って情報を集め始める展開から映画の雰囲気が変わり始めるのもワクワク感が出て来る。
スタジオから司会者と犯人が外に出て警察に囲まれながら街を移動する場面は見た目的に良く出て来ているし、そのままCEOと直接対決に持って行くというのも推理モノの真犯人を前にして探偵が解明するのをやっていて、推理モノの爽快感がある。

ただ、全ての証拠を以前知り合っていたハッカーが全てを請け負ってしまうのは展開の流れを壊さない様にとは言え都合が良過ぎ。
もっと情報を持っている人を分散させて振りで配置しとけばよかったのに…とは思った。

まあ、犯人はそうなる結末だとは思うけれど、その後が哀し怖かったのが、番組を真剣に見ていた視聴者達は怒る訳でもなく泣く訳でもなく、淡々と元の生活に戻り、犯人よりもCEOの面白動画が人気だという話題が持てはやされ、司会者とディレクターはまた変わらず番組をやるという日常が続いて行く事。
映画の視点的には司会者やディレクター視点だけれど、犯人視点だととてつもなく虚しさを感じてしまった。
犯人の行動は報われはしたけれど、この後も注目されるのはCEOや司会者で、結局多くの人はその後は何も描かれず注目もされない犯人だと思うと凄く陰陰滅滅となってしまった。

一方、テレビ局の制作側の人々の出来る感じは気持ち良かった。
皆状況を理解して自分の仕事に徹するプロフェッショナルで、多分普段は現場では大して役に立っていないだろうプロデューサーもちゃんと仕事して見せ場もあったし。

この映画、サスペンスとして飽きさせずに次から次へと見せておもしろいし、情報を集めて謎が解き明かされて行く後半の持って行き方も上手いし、司会者視点か、ディレクター視点か、犯人視点かで映画の印象が大分変るという部分も上手い映画だったなと思った。

☆☆☆☆★

« | »

Trackback URL

Leave a Reply