マイル22
2021年07月23日 金曜日ピーター・バーグ製作・監督、マーク・ウォールバーグ製作・主演の2018年のアメリカ映画「マイル22(Mile 22)」
アメリカ政府には存在していないとされている極秘部隊オーバーウォッチが、アメリカ国内で活動していたロシアの諜報活動員達のアジトを襲撃し全員を射殺した。
その16ヶ月後。東南アジアのインドカーという国で盗難されたセシウムの捜査を行っていたオーバーウォッチだったが、信頼出来るはずだった現地の警官リー・ノアからの情報でもセシウムを発見出来ずに手詰まりになっていた。
そこにアメリカへの亡命を条件にセシウムの在処を記録したハードドライブのパスワードを教えるとリー・ノアが大使館にやって来た。
オーバーウォッチはリー・ノアを亡命させる為に22マイル先の飛行場へと護送するが、インドカーは次々と襲撃者を送って来た。
Amazon プライムビデオで配信が終わりそうだったので見てみた映画。
重要人物を護送すると敵がわんさか襲って来て、それと戦い続けるというアクションで押すのでワクワクしながら見れたけれど、最後の落ちまで行くと落ちが全てになってしまって、あれは何だったの?あれはどうしたの?と説明も無いままで終わってしまって凄くモヤモヤした。
最後の方までアクションで攻め続けるのは割り切っていて良い。
そのアクション場面では何処に移動しても、敵を倒しても次から次へと敵がワラワラと湧いて来るのはFPSのゲームみたいで笑ってしまった。
オーバーウォッチ側のアクション場面はほぼ銃撃戦で、リー・ノア役のイコ・ウワイスは肉弾戦が多いという、銃撃戦と肉弾戦が完全分業制みたいな不均衡感にも違和感。
イコ・ウワイスは肉弾戦要員としての配役にしか思えないし、ハリウッド的銃撃戦とアジア的アクションをガッチャンコと合わせた感じが物凄かった。
それに、アクション場面だけでなく普通の場面でもやたらと細かくカットを繋ぐので画面がチャカチャカと早く変わり、しかも手持ちカメラでわざと画面をブレさせるの見難いったらありゃしない。
わざわざ肉弾戦をするイコ・ウワイスを配役して、イコ・ウワイスの見せ場を多くしておきながら、何しているのか分かり難いガチャガチャした撮影と編集にしているって本末転倒な気がする。
途中でのアパートメントでの銃撃戦では屋内の狭い中で撃ち合っていて、こんな感じどっかで見た事ある様な…?と思い出してみると、同じピーター・バーグ監督の「キングダム/見えざる敵」ででもアパートメントでの銃撃戦をしていたのを思い出し、ピーター・バーグって同じ事ばかりやっているの?と。
話は、初めのロシアの諜報活動員への攻撃と所々で出て来るロシア側の作戦で、落ちは何となく察しはつくけれど、一番の軸となっていたセシウムの在処とインドカーの攻撃に関しては最後の落ちを出してしまうと全く無視してしまい、これで延々と引っ張って来たのにこの投げっぱなしにイライラしてしまった。
セシウムの在処の情報は本物だったのか?
セシウムの情報がアメリカに渡るとインドカーは何が不味いのか?
インドカーはアメリカを敵に回しても渡さない程の情報って何?とは全くどうなのか分からず仕舞いでモヤモヤ。
リー・ノアも命を懸けてまでロシアに尽くす理由は?とか、リー・ノアが言った動機の家族の復讐もインドカーに対するモノなのか、自国のインドカーを敵に回してでものアメリカに対するモノなのかははっきりしないし、そもそも本当に家族の復讐なのかもはっきりせず、結局リー・ノアは何だかよく分からない存在で終了でモヤモヤ。
インドカーの襲撃者達はオーバーウォッチが移動する先にオーバーウォッチとほぼ同時に到着していたので、ロシアがオーバーウォッチの通信を傍受していたから、てっきりインドカーとロシアが繋がっていて、ロシアが情報をインドカーに渡していたのであんなに早く正確にインドカーの襲撃者達が現れたのかと思ったけれど、そうでもないのか。
ただ単にインドカーの襲撃者達は土地勘があるし、索敵が上手かっただけなのか。
ロシアの復讐が成功して終わりは、まあそんな結末か…と思ったけれど、ロシア側は非常に都合良過ぎ。
極秘部隊のはずのオーバーウォッチが標的だと分かっていて、誰が極秘部隊オーバーウォッチなのかもロシアに筒抜け。
居場所を特定されないように実行部隊とは別の場所に司令部を作っているのに、ロシアのハッキングには全然気が付かない間抜けっぷり。
ロシア側はもっと安定したネット回線や通信を確保するなら飛行機じゃなく何処かの地上の方がいい気がしたし、世界中の何処かにいるとしか分からないオーバーウォッチの司令部を突き止めると数分から数十分でその場所に部隊を送り込んでいたという事は、世界中にとんでもない数の部隊を配置しまくっていたって事?
ロシア側が都合が良いだけでなくオーバーウォッチ側も都合が良く、インドカーの町中の監視カメラはネット回線に接続してあり外部から操作可能。
信号機もネット回線に接続してあり外部から操作可能。
一般的なのか低所得者向けなのかの集合住宅には各階に監視カメラが完備してあり、当然ネット回線に接続してあり、集合住宅の電気を落としても監視カメラは独立した電気回線があるようで動き続けるとんでもなくITインフラが整ったインドカーの社会基盤をフル活用。
登場人物には細かい設定があったけれど、これが上手く機能しているは思えなかった。
マーク・ウォールバーグ演じるの主人公ジェームズ・シルバは天才だけれど感情が抑えきれないので、子供の時から手首にはめた輪ゴムを弾いて気持ちを落ち着かせるという人物ではあるけれど、これがどうにかはならず、この性格付けが何の意味があったのかがよく分からず。
戦いの途中で怒りで判断を間違うけれど天才的な状況判断を見せるとか、ゴムで気持ちを落ち着かせてピンチを凌ぐとかは一切無く、ジェームズ・シルバは天才には見えないし、結果上手く騙されただけだし、その性格が何かに影響もしないしで、何の為の性格付けだったんだろう?
ジョン・マルコヴィッチもスニーカーを履いているというは何だったの?だし。
ロンダ・ラウジーが出ていて、ロンダ・ラウジーって本格的に役者に行ったのか…と思ったけれど、役柄的に死に役を早い段階から感じたのは何だろう?
あと、ロンダ・ラウジーが早目に退場したのって、この映画の撮影が2017年11月から2018年2月頃までとなると、ロンダ・ラウジーが2018年1月からWWEに登場したのと被るから…ではないか。
最後に主人公がやられて終わりなのに、何故か余裕でまだやってるぞ!感で終わったと思ったら、この映画三部作のつもりで作ったらしい。
なのに、興行的にはそれ程でもなく、下手したら赤字位で、しかも評判もいまいちらしく、続編は望めないのかなぁ。
あの感じで終わりだと、主人公が間抜けで何故余裕?だし。
この映画、アクションで見せるけれど、近年のアクションの悪い傾向のカットをやたらと細かく繋ぎ、カメラをぶらすで見難いし、オチを見せたい為にそれまでの事が投げっぱなしにしてモヤモヤで終わってしまい、不満ばかりが残ってしまった。
☆☆★★★