WrestleMania 36

2020年04月26日 日曜日

今年の「レッスルマニア36」は新型コロナの影響で無観客で、練習場のWWEパフォーマンスセンターで事前に収録されたビデオの放送。
しかも二日に分けての開催と、苦心しての「レッスルマニア」
色々と制限がある中で何とかしてはいるけれど、流石にどの試合も盛り上がらず、しかも一番の見せ場であるはずの王座戦は塩試合。
更にはリング上で試合をせずに編集しまくった映像劇を流して、最早何を見せられていて、何に期待して楽しんだら良いのか分からない、何とも酷い「レッスルマニア」だった。

そもそも「レッスルマニア」って、大きな会場で多くの観客を入れて、観客は盛り上がっているのか、盛り上がる為に盛り上がっているのか分からない位のお祭り騒ぎが「レッスルマニア」の一番の特徴でもあると思うけれど、大勢の観客を呼べないというその特徴が無くなってしまった状況で、しかも普段の「RAW」や「スマックダウン」よりも狭い練習場でとなると、流石に「レッスルマニア」と呼べるモノではなくなってしまっていた。
逆に言えば、どれだけ観客の存在が大事なのかを確認出来たという部分では興味深くはあったけれど、観客がいない。歓声は無い。実況と解説者の声が会場に響く。仕方が無いとは言え、会場は練習場となると最早リハーサルか練習を見ているようで全く盛り上がらず。
この状況下で「レッスルマニア」をやったという部分での評価はあっても、この環境でWWEのスポーツ・エンターテインメントをやってもやっぱりつまらない。
WWEではプロレスと言うよりも、スポーツ・エンターテインメントになったのでプロレスを求めても仕方ないのかもしれないけれど、各試合も大しておもしろくもなかった。
ただ、観客がいないので盛り上がりは一切ない事に対してスーパースター達が自ら結構喋って盛り上げて行く形はおもしろかった。
特にアスカとカイリ・セインが下品に大阪弁で喋っていたのは笑ってしまった。

ゴールドバーグ対ブラウン・ストローマンは、そもそも「レッスルマニア」の盛り上げ役として半引退状態のゴールドバーグを引っ張り出して王座を取らせ、本来ならローマン・レインズとの試合だったのが急遽ローマン・レインズが休場となってブラウン・ストローマンに変わった試合で、まあ塩試合。
試合自体が二分程の攻防で終わってしまう酷い試合だったけれど、本来のローマン・レインズで観客入れての試合でも相当な事故になってた気もする。
逆に、この「レッスルマニア」だからという試合に引っ張り出されて、強引にベルトを任されて、皆からしょっぱいしょっぱいと言われてなくてはいけないゴールドバーグが不憫に思えてしまった。

一日目の締めのメインイベントはAJスタイルズ対ジ・アンダーテイカー。
これも半引退状態のジ・アンダーテイカーを引っ張り出しての何時もの「レッスルマニア」用試合だったけれど、これは最早何を見ているか分からなくなってしまった。
SNSに自撮り写真を載っけて自らジ・アンダーテイカーの神秘性やカリスマ性を無くしてしまっているジ・アンダーテイカーをAJスタイルズは数週前から批判しまくり、このAJスタイルズがコアな古参のプロレスファンの代弁者みたいになっていておもしろい煽りだった。
それがこの状況になったので、試合はリング上での試合ではなく、外でのボーンヤード戦。
時々WWEではリング外のコントみたいな試合もあるけれど、このボーンヤード戦は不気味で神秘的な墓堀人アンダーテイカーだからの墓場(のセット)での試合だと思ったら、アンダーテイカーがバイクに乗ってのかつてのアメリカン・バッド・アスの姿で登場してしまい、この時点で設定がぶれて何これ?状態。
その後の墓場(のセット)での試合はプロレスではなく、おっさんとバイカーのおっさんが殴り合うというアメリカの安いアクション映画の終盤状態が延々と続く。
しかも、殴った時に効果音を足してしまっており、プロレスでもスポーツ・エンターテインメントでもなくなっていたし。
映画・映像劇だとしても、やたらとカットを割り、カメラをわざと動かしてぶれさせたり、ピントをずらしてぼやけさせたりと、ただ見難いだけなのにこれがカッコイイと思っている様なダメな安っぽい演出の悪い部分が満載で萎えまくり。
映画でもこの手の演出が出ると一気に見る気が失せてしまうので、このボーンヤード戦も早い段階から白けてしまっていた。
まあ、この状況だし、何より大分前からアンダーテイカーは膝がボロボロだと言われて試合しても最早名勝負のプロレスは出来ないしでこれになったと思うのだけれど、見たいのはAJスタイルズとアンダーテイカーが正面からぶつかって経験を見せる攻防のプロレスであって、C級低予算アクション映画を見せられてもなぁ…だった。

二日目はリア・リプリー対シャーロット・フレアーの試合から始まったけれど、二日間通しての「レッスルマニア36」で一番おもしろかったのは、この試合。
二人の攻防は魅せていたし、大げさに振りかぶって殴るだけではなく、ちょっと叩く位の細かいやり取りとかもおもしろく見れたし、一番プロレス的におもしろかった。

その後はアンダーテイカーに続き、エッジも怪我や体の事を考えてのリング上での技を出し合う試合ではなくリング外での殴り合いとか、アンダーテイカー以上に何を見せられているんだろう?だったジョン・シナ対ブレイ・ワイアットとか、短時間のしょっぱい塩試合のブロック・レスナー対ドリュー・マッキンタイアとか、盛り下がり感で一杯。

本来なら一番の見所であるはずのWWEの最高位のベルトがかけられたWWE王座戦とWWEユニバーサル王座戦が組み合わせからして塩試合の臭いしかしなかったけれど、実際試合をしたらやっぱり塩試合だったというどうしようもない事になり、話題になるのはプロレスの試合でもない映像劇。
これは緊急事態の状況下だからと言うよりも、近年のWWEの方向性が最早わたしは興味が持てないという事なんだろうなぁと改めて思ってしまった。
 
 
驚いた事と言えば、「レッスルマニア36」のホストがロブ・グロンコウスキーで、WWEと契約していた事はそうなのか…位だったのだけれど、そのグロンコウスキーがこの「レッスルマニア36」の後に現役復帰した事。
しかも、所属チームは本来なら「レッスルマニア36」の開催地だったはずのフロリダ州タンパのレイモンド・ジェームス・スタジアムを本拠地にしているタンパベイ・バッカニアーズ。
それよりも驚きだったのは、NFL史上最高のQB「The GOAT(Greatest of All Time)」と言われているトム・ブレイディがフリーエージェンとなり、20年間在籍したニューイングランド・ペイトリオッツを離れてバッカニアーズと契約していた事。
ブレイディとグロンコウスキーのあのホットラインが復活って熱過ぎ。

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