アンドロメダ…

2019年04月03日 水曜日

ロバート・ワイズ製作・監督、アーサー・ヒル主演の1971年のアメリカ映画「アンドロメダ…(The Andromeda Strain)」。
マイケル・クライトンの小説「アンドロメダ病原体」が原作。

地球に帰還した人工衛星がニューメキシコの村に落下した。
その人工衛星の回収に向かったアメリカ軍だったが、村人達が全員死亡しており、回収班とも連絡が途絶えてしまった。
緊急事態と悟った政府は科学者と医師四名を招集し、その中のジェレミー・ストーンとマーク・ホールが村の調査と人工衛星の回収へと向かった。
人工衛星を発見し回収するが、村人達は体内の血液が凝固した状態で死亡している事が分かったが、その中で何故か生きていた赤ん坊と死にかけの老人の二人の生存者を発見して研究所へと連れて帰った。
研究所での調査で人工衛星に付着した生命体らしい極小の物質が発見され、空気感染で村人を死亡させた事が分かり、更に調査を続ける中で謎の物質が変化している事も分かり出した。

地球外からの物質によるバイオハザードを描いた映画で、序盤は抜群に緊迫感があって、「何だ何だ?」で謎で引っ張られておもしろいのだけれど、中盤から急に間延びしてしまい、終盤は緊迫感は取り戻すものの、「何じゃそりゃ?」な結末で結構肩透かし。

導入での何が原因なのか分からない村人の全滅から始まり、主人公達が村を完全防護服で歩き回る異様さや、家を除くと同じ画面の別枠で死亡している人を次々と映して行く演出とかで非常に緊迫感があってスリラーとして抜群におもしろいし、謎の惹きつけも非常にある。
この掴みが抜群なんだけれど、話が地下の研究施設に行くと急に退屈になる。
感染防止の為に人間の除菌を何度も繰り返して地下へと潜って行くけれど、これが今までの緊迫した雰囲気とは一変し、冗談みたいなやり過ぎ除菌を何度も見せ、完全に笑かしにかかっているコンピューターと人間のやり取りとかで掴んだ緊迫感が台無し。
一番地下の施設では隔離された部屋に回収物があって、それを別の部屋からロボットアームを操作して調査や作業しているし、人間が部屋に入る時だって防護服をつけているんだから、あんなに除菌する必要ないじゃん…。
あの長い一連の除菌場面で緊迫感が無くなってしまうのも構成としてどうなの?だし。

そこから徐々に謎の物質が何なのかが分かって行くのはおもしろいし、科学者の一人が感染して、その窮地を今までの調査から救ったり、あれだけ振りに振っていた研究所の核自爆装置が起動して、止められるかどうかの緊迫感はあったけれど、速攻で人間の血液を凝固させ死亡させてしまうあの物質は空気感染するので地球はトンデモない事になってしまうのをどう止めるのか!?という部分が「物質が突然変異して問題無くなりました」とか、あれだけの大風呂敷広げておいての上手い結末思いつかなかったので余りに都合の良過ぎる落ちとか、見ていて呆れてしまった。
あれだけ秘密裏に作られて隔離された研究所だったので、結局物質の拡散を止めらずに世界が滅んであの研究所だけが生き残ったとか、序盤では軍や政府関係者が次々と出て来たので、最後は研究者達からそっちに話が移って全世界規模で対策が講じられる展開になるのかと思ったら、物質が勝手に変化してめでたしめでたしとか、本気なの?ふざけているのか?と思った結末。
正直しょっぱい。

この映画、序盤と終盤は緊迫感もあるハードSFとして地味さが非常に良い映画だっただけに、中盤の間延びしてしまった冗談みたいな除菌とどうしようもない落ちが無ければ良い映画だったのになぁ…と思ってしまった。

☆☆★★★

« | »

Trackback URL

Leave a Reply