フェリスはある朝突然に

2018年12月26日 水曜日

ジョン・ヒューズ製作・監督・脚本、マシュー・ブロデリック主演の1986年のアメリカ映画「フェリスはある朝突然に(Ferris Bueller’s Day Off)」。

高校生のフェリス・ビューラーは同じ学期で九度目の仮病を使って学校をズル休みした。
フェリスは親友のキャメロン・フライと恋人のスローン・ピターソンも誘い出して街で遊び出した。
以前からフェリスの事が気に食わなかった校長のエドワード・ルーニーはフェリスのズル休みを暴き出すためにマシューの家へと向かった。

粗筋を読んだだけでは全く興味が無かった映画だけれど、確かこの映画は映画「デッドプール」は見ていないけれど映画内でパロディにされてたという話は知っていたので見る事にしてみた。
しかし、この映画は全くおもしろくもなかった。
金持ちのボンボンで、やたらと両親から溺愛されていて、学校中の人気者のフェリスがズル休みして好き放題する事が次々と上手く行くだけの話で、これの何処を楽しむのか、さっぱり分からなかった。
わたしも学校を休みたいと思った事はあるし、実際休んだ事もあるけれど、このフェリスが何故これだけ何度もズル休みするのはさっぱり分からず、悩みも大した事なく、おっさんのわたしが見ても何も共感性は無し。
しかも、フェリスが好き放題して常に上手く行くというおもしろくもない展開に早い段階で飽き飽き。
これが徐々に物事が大きくなって行くとか、常にハチャメチャなら展開として分かるけれど、小さい出来事の連続から急に町の人々を巻き込んでの大きな出来事になったかと思ったら、友達の嘘自殺という非常にこじんまりした出来事になったりと、展開の波の大小が考えられておらず散漫。
多分、この映画の一番の盛り上がり所のフェリスがカーニバルに参加してミュージカルになる場面が結構中盤なので後は盛り下がるだけなのに、何でここに盛り上がりの頂点を持ってきたのだろう?と思ってしまった。
ここのミュージカル場面は吐き気を催す位のクソ感だったので一気に早送り。
そもそもフェリスが見ている側に語り始めた早い段階で結構早送りを繰り返してはいたけれど。
この登場人物が見ている側に語り掛けて来るという演出が嫌い。
元々ナレーションで状況説明や人物の感情を説明してしまう映画が好きではないし、そのナレーションの替わりに登場人物に喋らしたり、それをメタ・フィクション的に見ている方に語り掛けるのは更に嫌い。
同じ様に見ている方に語り掛けて全部説明してしまうというと、ドラマ「ハウス・オブ・カード 野望の階段」も主人公のケヴィン・スペイシーが同じ事をしていたけれど、それが鼻について鬱陶し過ぎて見るの止めたし。
この映画でも同じ鬱陶しさ感があったけれど、初めの状況説明で多用していたのに暫く経つとさっぱりやらなくなり、演出の中途半端さったらない。

この映画が終わるまでずっと思っていたのは、これって落ちはフェリスの夢落ちなんじゃないの?という事。
フェリスは金持ちの息子で、親からの変な程の愛を受けていて、学校中の人気者で誰からも好かれていて、無茶をしても何故か上手く行くなんて、全てが出来過ぎなあり得ない話で、仮病を使って休んでいるという事になれば、実はフェリスは貧乏な家の子で、親からの愛も無く、学校ではいじめられているので学校に行きたくないので仮病を使って家で寝ていて、見ている夢では理想の自分を見ているんだと思っていた。
そうならこの話もすんなりと分かるけれど、この有り得ない話を納得させるのが単にこれがコメディだからという理由なら、この映画はつまらないコメディとしか思わなかった。

この映画でフェリスの家に校長がやって来る所が物凄い映画「ホーム・アローン」っぽいなぁと思っていたら、この映画の製作・監督・脚本のジョン・ヒューズって、映画「ホーム・アローン」で製作・脚本をしていたのか。
この映画の校長部分は映画「ホーム・アローン」の試作版だな。

途中の警察署の場面でチャーリー・シーンが登場した時、「あ、チャーリー・シーンだ!」と思ったのだけれど、このチャーリー・シーンの使い方がいまいち分からない。
てっきりチャーリー・シーンが有名になった後での一場面登場で「あっ!」と思わせる為だと思っていたら、チャーリー・シーンが有名になったのって、この映画の公開後半年後位に公開された映画「プラトーン」だから、この映画の当時ってそうでもなかったんじゃないの?
だとすると、この思わせ振りな人物だけれど特に何も無い役って何だったのだろう?
妹と何かこの後ありそうで、何かの振りかと思ったのに。

この映画、主人公が見ている方に語り掛けるメタ・フィクションをやってはいるけれど、それが効果的かと言えばそうでもないし、それが無いと特徴も無いつまらないコメディ映画で、わたしは見ている方に語り掛ける演出が嫌いで、更にコメディ映画としてもおもしろいと思えなかったので非常につまらない映画だった。

☆★★★★

« | »

Trackback URL

Leave a Reply