大魔神

2017年10月12日 木曜日

安田公義監督、高田美和主演の1966年の映画「大魔神」。

丹波の国の領主である花房家は家老大舘左馬之助の謀反によって花房忠文と小笹の兄妹だけが生き残った。
花房家に仕えていた猿丸小源太は巫女の叔母を頼り、兄妹二人を山の魔神を祭る山奥へとかくまった。
十年が経ち、大舘左馬之助が領民を酷使して権勢を誇っており、忠文と猿丸小源太はお家再興を目論むも失敗。
そこへ封印されていた魔神が復活した。

わたしは映画大魔神シリーズは一切見た事ないのに、この大魔神というキャラクター?は知っていたので、どんな映画かと見てみた。

終盤まで終始花房家の滅亡と復興話で、大魔神が登場するのは終盤十数分だけなのでつまらなかった。

そもそも全体の大部分を占める滅亡と復興話がつまらなく、良い殿さま風の花房忠清は余所者の大舘左馬之助に簡単に謀反を成功させてしまう位、家臣が敵方に回る位人望が無いとか、何で大舘左馬之助は余所者だったのにあれだけ周りから支持されていたのか?とかが描かれないので、結構置いてけ堀。

十年後も大舘左馬之助が如何に悪い奴で、それに耐えて耐えての大魔神降臨の展開にしたいのは分かるけれど、終始花房家側が皆アホでコントみたい。
猿丸小源太は十年間も他の仲間と連絡を取らずにおり、本気でお家復興をするつもりだったのか分からない人物で、行き成り「よし!やるぞ!」と山を下りると速攻で捕まってしまう間抜け。
同じく忠文も猿丸小源太を助けに行って、まんまと罠にかかって捕まるし、巫女は大舘左馬之助に文句言いに行って当然の如く殺されるだけで役に立たないし、小笹も偵察に行って直ぐ捕まるし、全員何かすると失敗しかしないという冗談の様な展開。

大魔神の復活もよく分からない。
小笹の気持ちに答えた風なんだけれど、小笹が大魔神に対して凄い信仰心があった訳でもないし、小笹が滝に身を投げようとして、身を投げた訳でもないのに大魔神が復活する。
その後、大舘左馬之助側の兵を殺しまくって忠文と猿丸小源太を助けるのだけれど、それが終わると罪もない領民を殺そうとしてしまい、大魔神の行動原理がさっぱり分からない。

それに大魔神は、あの武神の石像の下に魔神が封印されていると話だったけれど、武神像が動き出し大魔神に変わった後に、どうやら魔神の本体らしい光球が飛び回って城付近に現れ、それが地面にぶつかると大魔神が現れるって、結局石像が歩いて来たのか、あの光球になって移動して来たのか、そもそも石像に光球が入って大魔神になったはずなのに初めの石像が動き出した時点ではそれが無くて、物凄い適当な感じばかり。

ただ、大魔神の壊すセットや合成は見事。
大魔神がそれ程巨大ではないのでそれに合わせてセットも大きく作ってのミニチュア感の余り無い良く出来た特撮になっていたし、合成も浮いた感じではなかったし、遠近感が違和感無く見れて、今見ても結構見応え十分。
しかし、大魔神の登場が少ないので物足りなさが結構あった。

この映画、主人公側が皆アホなので盛り上がりに欠けるし、大魔神登場までが長いので大分退屈で、特撮としてはおもしろいけれど映画自体は非常に微妙な出来。

☆☆★★★
 
 
関連:大魔神逆襲

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