MACGYVER/マクガイバー

2017年10月10日 火曜日

アメリカではCBSで2016年から放送されているテレビドラマ「MACGYVER/マクガイバー」。
1985年から1992年にかけて全7シーズンが放送された「冒険野郎マクガイバー」のリブート版。

わたしは「冒険野郎マクガイバー」を子供の時に好きで見ていて、今では内容はほぼ覚えていないけれど、リチャード・ディーン・アンダーソンが演じたマクガイバーと、身の回りにある物で危機を乗り越えて行くという展開を強烈に覚えており、そのリブート版という事なので期待して見てみた。
しかし、まあ、つまらなかった。

確か「冒険野郎マクガイバー」って、マクガイバー単独行動での活躍だったはずだけれど、この「MACGYVER/マクガイバー」ではマクガイバー以外にもジャック・ダルトンとライリー・デイヴィスという二人が支援でついており、その時点で「冒険野郎マクガイバー」っぽさが薄れてしまっている上に、主人公であるマクガイバーに魅了が全然無い。

マクガイバーを演じるルーカス・ティルがまだ26歳で、色々な知識をひけらかたりするけれども何をするにしてもその若さで説得力が無く、マクガイバーが考え出して行動しているというよりも脚本通りに行動している感じしかない。
マクガイバーもそうだし、天才ハッカーのライリー・デイヴィスもそうなんだけれど、若い天才って現実にはいるけれども、こういった現場での対応力が全てなドラマで若造が何でもしてしまうというのは見ていても作り物感が一杯で役の説得力が欠けてしまう。
しかも、マクガイバーは一話目では盗みに入って警報を作動させてしまい、敵に奪取した品を取られてしまい、信じていた恋人に裏切られていたとか、常に失敗ばかりの出来損ない感満載という人物になっており、出来るマクガイバーを期待してた方からすれば期待外れなマクガイバー。
それに演じるルーカス・ティルがヌボッーっとした感じで、見た目からして出来る男感が全然無いし。

それ比べて、脇役であるはずのジャック・ダルトンが魅力があり過ぎてマクガイバーを喰いまくっていて、最早誰が主人公であるべきなのか分からない状態。
ジャック・ダルトンを演じるジョージ・イーズが、わたしがずっと見ている「CSI:科学捜査班」のニック・ストークス役をずっと見て来たという事もあるだろうし、ジョージ・イーズが49歳のベテランの域に入っている事もあって、存在自体がマクガイバーよりも目立ち、次々と冗談を言いながらも鋭く判断して行動するのでマクガイバーが目立たない。
ジャック・ダルトンはニック・ストークスを更に適当なおっさんにした様な感じで喋りもおもしろいのに、マクガイバーの台詞が普通の青年過ぎて目立ち様が無いというのもあるんだろうけれど。

そして、過去の「冒険野郎マクガイバー」も、この「MACGYVER/マクガイバー」でも一番の見所である日用品を使って何とかするという部分がいまいちおもしろくない。
「冒険野郎マクガイバー」にあったワクワク感が無く、「MACGYVER/マクガイバー」では今まで色んな映画やドラマで描かれて来た事の焼き直しに思え、今更感が強く既視感しか感じなかった。
と、言うか、この日用品を使ってというのは既に「バーン・ノーティス 元スパイの逆襲」で散々見てしまったので新鮮味が全然無い。
気付いたのは、「MACGYVER/マクガイバー」はマクガイバー単独のドラマではなく、ベラベラ冗談を言いつつも行動するベテランのおっさんと、喧嘩っ早いとまでは行かないけれど結構ガツガツ攻めて来る女性の三人組のチームに加え、マクガイバーが自分の行動の説明をナレーションで丁寧に解説するって、最早「バーン・ノーティス 元スパイの逆襲」じゃん。
マクガイバーがナレーションで開設する度にマイケル・ウェスティンの顔を思い出し、「ヒュー(口笛)」「ここ何処?」「マイアミ」という「バーン・ノーティス 元スパイの逆襲」のオープニングを思い出してしまった。
この「MACGYVER/マクガイバー」って「冒険野郎マクガイバー」のリブート版と言うよりも、組織を首になったという要素を省いた「バーン・ノーティス 元スパイの逆襲」のリブート版にしか思えなくなってしまった。
「バーン・ノーティス 元スパイの逆襲」が「冒険野郎マクガイバー」の要素を取りこんで新たなドラマを作ったのに、その「バーン・ノーティス 元スパイの逆襲」の要素を借りまくって「冒険野郎マクガイバー」のリブートにするとか訳が分からない。

微妙と言うか、駄目な部分は日本語吹き替え。
ジョージ・イーズ演じるジャック・ダルトンが喋った瞬間に家中宏ではない事が分かり、萎え萎え。
「CSI:科学捜査班」のニック・ストークスで十数年ジョージ・イーズは家中宏と固定化しているじゃん。
このジャック・ダルトンの吹き替えは、同じCSIフランチャイズの「CSI:ニューヨーク」のドン・フラックを担当していた土田大
この土田大の演技が変。
ドン・フラックの時はもっと素直に声を出していた感じなのに、ジャック・ダルトンは物凄く声をしゃがれさせて、演技がわざとらしく聞こえた。
ただ、ずっと聞いていると「CSI:科学捜査班」のニック・ストークスの時の家中宏に似せている感じ、寄せている感じがして来て、最終的には土田大による家中宏風モノマネ演技にしか聞こえなくなってしまい、もう面白。

そして、何より最悪なのが音楽。
「冒険野郎マクガイバー」のリブートという事で、これを聞けば「冒険野郎マクガイバー」のあのテーマソングの冒頭の部分を使っているのに、そこからの一番気持ち良い部分を全く使わず別物にしている。
「冒険野郎マクガイバー」のリブートならあの音楽を使うべきだし、過去のドラマとは別物と言うなら過去の音楽を使わずに完全な新作にするべきで、「冒険野郎マクガイバー」の冒頭だけ使って後は使わないなんて中途半端過ぎる事をして、初めて聞いた時はズッコケるよりもイラッとしたし。

このドラマ、流石にルーカス・ティルのマクガイバーだけでは弱過ぎると判断してジョージ・イーズを入れた事により、主人公のマクガイバーが弱くなり過ぎてしまい、見ていてもマクガイバーよりもジャック・ダルトンに活躍させろ!と思ってしまうのは致命的。
「冒険野郎マクガイバー」と「スターゲイト SG-1」のジャック・オニール大佐という長期に渡るヒットドラマの主人公を演じたリチャード・ディーン・アンダーソンの役者としての魅力が凄かったのかという事を改めて認識させてしまう。
日用品による問題解決と三人チームによる誰も殺さず秘密裏に罠にはめて問題解決するという事なら、この「MACGYVER/マクガイバー」を見ずに「バーン・ノーティス 元スパイの逆襲」を見るし…と思ってしまったし、土田大による家中宏風ジョージ・イーズを見るだけだとこれだと相当きついしなぁ…。
丁度、連続テレビドラマを見るのが面倒臭い期なので、一話だけでもういいかなぁ?

関連:前期見たドラマはER6とER8

« | »

Trackback URL

Leave a Reply