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アンタッチャブル

2017年04月09日 日曜日

ブライアン・デ・パルマ監督、ケヴィン・コスナー主演の1987年のアメリカ映画「アンタッチャブル(The Untouchables)」。

1930年代のアメリカでは禁酒法が施行されていたが、密造酒や密輸酒によってギャング達が儲け、酒を買わない相手には暴力を使い買わせるという無法状態だった。
シカゴではアル・カポネが権力と金を握っていたが、そのシカゴへ新たに財務省のエリオット・ネスが派遣された。
エリオット・ネスはアル・カポネを捕まえようと仲間を集め強引に捜査を始めるが、アル・カポネ側も黙ってはいなかった。

わたしは昔にこの映画見た事あるはずだけれど、あの駅の階段の場面位しか覚えていなかったのは改めて見直すとその理由が分かった。この映画が酷くつまんないから。
まるで連続テレビドラマの良い所だけを集めて二時間に収めた様な人物や話の背景が見えて来ない、上辺をなぞっただけの様な薄っぺらさやご都合的な展開や演出で、この映画はよく名作と言われているけれど、駄作に行くか行かないかの凡作の部類だろう…と思えた。

始まりから、まあ在り来たりな展開で、新たに警察にやって来た財務省という別部門のエリオット・ネスが初めは失敗。だけれど、殺された女の子の母親の一言でやる気を出すとか、余りに捻りも何も無い展開で、その時点で一気に冷めた。
エリオット・ネスにも家族がいての共感は分かるものの、実際に自分の家族は少しだけ脅されて大して被害が無いので、話が進む程何でエリオット・ネスがそこまでアル・カポネに執着するのかがいまいち分からない。
犯罪が蔓延する新たに土地にやって来て、有名ギャングを捕まえて出世したい!という出世欲は全く見られないし、ただただエリオット・ネスが良い人というだけなの?だとしたら、相当薄っぺらい人物だけど。
それに、そもそも何で財務省の人間が現場で銃をバンバン撃って人を殺しているのかもよく分からず、この主人公であるエリオット・ネスの背景がさっぱり分からないので、見ていても全然主人公としておもしろくない。

その他の人物の背景も全く見えず、エリオット・ネスのチームの統制を取り指揮もするジム・マローンも、そもそもエリオット・ネスは何が引っ掛かってジム・マローンを優秀だと思い、どの部分でアル・カポネに対抗出来る人物だと思って自分のチームに入れようとしたのかもよく分からないし、ジム・マローンは何十年も巡査だと言っていたのに何故あれだけ対ギャングの戦い方を知っているのか?とか、何で自分の家に人がやって来ただけでショットガンを持って玄関に出るのか?とか、警察署長と過去からの付き合いがあるようで、エリオット・ネスには偉そうに正義について語るのに署長の悪事も知っていたのに何故暴露しないのか?とか、このジム・マローンという人物の背景が全然描かれず、見ていてもジム・マローンの行動には何時もハテナばかり。
このジム・マローンを演じているのがこれまで幾多の英雄を演じて来たショーン・コネリーだからという何か凄そうと思うだけで、人物としてはよく分からないまま。

アル・カポネにしてもそう。
彼が求めているのは権力欲なのか?金なのか?とか彼の行動原理は一切分からず、ただ悪役という記号だけでしか存在していない。
このアル・カポネの悪役の説得力ってショーン・コネリーと同じで、ロバート・デ・ニーロだからの迫力と演技力だけ。
ただ、このロバート・デ・ニーロを見ていると、元どーよのケンキさんじゃない方の元どーよのテルのロバート・デ・ニーロのモノマネを思い出してしまい笑ってしまった。

アンディ・ガルシア演じるジョージ・ストーンも、あれだけ仲間探しで人物紹介の場面があったにも関わらず、ほとんど活躍せず、階段落ちの場面が無ければほぼ活躍無しだった位存在感が薄い。
ジョージ・ストーンの人物設定も後でギャングとの関係性が出てきそうな感じだったのに何も無しだし、結構血気盛んで喧嘩っ早い登場だったのに、それ以降はそんな事も無く非常に冷静で静かな人物になっていたし、この人物設定もチグハグ感が一杯。

他の展開も、カナダとの国境で馬に乗っての銃撃戦とかは「シカゴのギャングモノで、何で西部劇してんの?」と思うし、この場面では簡単に人を殺してしまうマフィアが撃った銃の弾は全然当たらず、銃を持ったギャングがいる直ぐ側でギャングに背を向けて暫くボーっとしているのに撃たれない財務省の帳簿調査員が銃を撃てば常に当たるとか、ほとんどコメディの域。
四人が馬に乗って走る場面もモッチャリしていて迫力が無いし、銃撃戦もいまいちだし、非常に盛り上がらない。

完全にコメディだったのはジム・マローンの死亡場面。
あれだけマシンガンで撃たれまくっていたのに這いつくばって中々死なず、暫くしてエリオット・ネスが現れると再び息を吹き返してジタバタし始めて、でもやっぱり死んでしまうって、刀で切られても中々死なないドリフのコントみたい。
この展開って、執念で死なないジム・マローンが何とか情報を伝えて死んでしまって哀しいという本気の演出なんだよね。見た人のほとんどが「あれだけ撃たれたのに死なないんかい!」って突っ込むと思うけれど。

終盤のエリオット・ネスが仇を銃で撃とうとして思い留まったのに結局突き落としてしまうのも、あれだけ正義や法がどうのこうの言っていたのに、その振り無視かよと思ったし、その法を越えてしまった私刑に関して何も一切咎められる事も無く、その一方でアル・カポネは法で裁かれるとか、余りにチグハグ過ぎるだろ。

主軸となる展開もアル・カポネに対する攻撃が帳簿係を探すだけという展開で、しかもジム・マローンが何処からか情報を持って来るという都合の良い時間短縮展開で非常につまらないし、最後の一番盛り上がらなくてはならない法廷劇もこれまでが帳簿係を探すだけだったのでアル・カポネに対する追い詰める事の出来る証拠集めも何も無いので、非常に雑多に「はい、有罪!」で非常にしょうもない。
帳簿係達もあれだけアル・カポネに深く関わっていて、アル・カポネは家族だろうが子供だろうが関係無しに殺しまくる異常者だという事も知っているはずなのに、帳簿係が警察に捕まったら「はい、何でも喋ります」と素直に警察の言う事を聞くなんて、まあ都合しかない展開。

この登場人物達の行動や背景の薄さやご都合主義でしかない展開って、もう初めに大筋が決まっていて、そこに人物を配置して展開の駒として動かしている感じしかないし、細かい説明を省いて気持ち良いだけの展開にしただけにしか思えないのだけれど。

ブライアン・デ・パルマって結構評価が高い様だけれど、この映画を見ても演出は結構微妙。
盛り上がるはずのカナダでの騎馬戦も馬が走っている時の速さの無さったらないし、最後のエリオット・ネスが仇を追い駆けてビルから落ちた…と思ったら大丈夫でした…って、当たり前過ぎる展開で、この緊迫させないといけない場面でわざわざこんな一件入れて緊張感を削ぐ理由も分からないし、一番有名な乳母車の階段落ちにしても銃撃戦に行くまでにやたらと泣く子供のカットを入れてしつこ過ぎる位だし、乳母車が落ちて行かないといけない展開だからという理由にしても、銃撃戦が始まるとエリオット・ネスは銃撃戦に夢中で、「あ、乳母車忘れてた…」位の行動で間抜けに見えてカッコ良いのはジョージ・ストーンという演出何?だし、普通に階段下りている時は誰も乳母車にも見向きもしないのに、銃撃戦が始まると乳母車を止めようとしているのか何なのか意味も無く立ち上がって結局撃たれてしまう周囲の人の間抜けさで緊迫感が削がれるし、この場面はやたらとスローモーションを使って見ていると結構間延びするし、うっとおしい感じもあるしで、一々演出がわたしにははまらなかった。

それに役者は脇のロバート・デ・ニーロが圧倒的存在感で、「もっと、ロバート・デ・ニーロを見せろ!」だったし、ショーン・コネリーもアンディ・ガルシアもチャールズ・マーティン・スミスも濃い存在感があるので、逆にケヴィン・コスナーの存在感が薄くなってしまっていた様に思えた。
見ていると「ケヴィン・コスナーって、こんな演技下手だったっけ?」とも思えて来たし。

あと、ずっとこの映画の題名からして「アンタッチャブル」なのは誰も手出し出来ないアル・カポネの事だと思っていたけれど、原題は「The Untouchables」と複数形でエリオット・ネス達の方の事なんだな。そりゃ、こっちが主人公だもんな。
だとしたら邦題はやっぱり駄目じゃん。

この映画、連続テレビドラマの総集編なら「こんなもんか…。」と思えたのだろうけれど、一本の映画として見ると煮詰まらない話ばかりで、取って付けたご都合的に舞い込んで来る展開とか、描き切れていない登場人物の背景や行動理念や考えとかで見ていてずっとモヤモヤしたままで弾け切らず、見終わってもつまらなさばかりが残った。
ブライアン・デ・パルマとケヴィン・コスナーの映画は何作か見たけれど、どれも当たりが全然無い。

☆☆★★★

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