コンドル

2016年08月04日 木曜日

シドニー・ポラック監督、ロバート・レッドフォード主演の1975年のアメリカ映画「コンドル(Three Days of the Condor)」。
ジェームズ・グラディの小説「コンドルの六日間」が原作。

アメリカ文学史協会で働いているジョセフ・ターナーは外で昼食を買って戻ってみると職場の仲間が皆殺しにされていた。
実はアメリカ文学史協会はCIAの末端組織であり、ジョセフ・ターナーはコードネームがコンドルの分析官だった。
ジョセフ・ターナーは逃げ出し、CIAと連絡を取り、保護してもらおうとして待ち合わせ場所に行くが、そこで命を狙われ為に自分が何に巻き込まれたのかを調べ出す。

始めは、よく分からない協会で働いているけれど何やらこの協会は隠れ蓑として別の仕事があるようだという曖昧な中で、急な襲撃で皆殺しになり、序盤は訳が分からないままの巻き込まれ型サスペンスとして喰い付きはあった。
しかし、その後は謎が謎のまま、何も分からないままで展開し続け、見ている方は置いてけ堀だし、見続けるのが面倒臭くなってしまった。
サスペンスや巻き込まれ型の逃亡劇だと徐々にその原因や謎解きがあって見ている方も状況を理解して行くのに、この映画はそこら辺は終盤までやらず、ロバート・レッドフォードが訳も分からず逃げているだけでずっとモヤモヤしっぱなし。
ロバート・レッドフォードが狙われる理由も終盤に黒幕を見付け、黒幕の目の前に行ってから、そこで突然「石油か!」と気付き、黒幕も認めてしまうという盛り上がりも、見ている方の納得も無いまま、あっさり過ぎる程あっさり分かってしまう。見ていて「何じゃ、こりゃ?」だったし。

それにロバート・レッドフォードが狙われて逃亡してから、次にフェイ・ダナウェイとのダラダラとした微妙な恋愛劇になるのも調子の悪い展開。
命を狙われているのに、どうして?や誰が犯人なんだ?とかを探る為に行動せず、フェイ・ダナウェイを拉致して一晩寝てしまうのは最早コメディかと思う位意味不明。
フェイ・ダナウェイも、これから彼氏と旅行に行く寸前にロバート・レッドフォードに銃を突き付けられて「俺ははめられた!」と主張する大分ヤバい人に無理強いされている状況で、写真がどうのこうのでロバート・レッドフォードとやってしまう気持ちが一切理解出来ない。まだ、尻の軽そうなバカ女風なら無きにしも非ずかと思うけれど、フェイ・ダナウェイという非常に意志の強そうで長年付き合っているだろう彼氏がいる女性がこれだともう付いていけない。
その後もロバート・レッドフォードと寝たので彼に急に協力し始め、そして急に彼の元に行ってしまうフェイ・ダナウェイにはずっと付いて行けず。
ロバート・レッドフォードとフェイ・ダナウェイの共演が決まり、「コンドルの六日間」が原作と決まっていたので、話題性と言う部分でロバート・レッドフォードとフェイ・ダナウェイの恋愛劇をねじ込んだ気がしてならないんだけれど、原作の「コンドルの六日間」ではどうなんだろうなぁ?
この恋愛劇がつまらな過ぎて、ロバート・レッドフォードが寝始めた所を最後に、気付いたら私も寝落ちしていたし。

ロバート・レッドフォードも劇中で「行動が予測出来ない人間」とは言われていたけれど、ロバート・レッドフォードが標的ではなくなったからと、仲良く長年仕事して来た無実の職場の仲間が無残に殺され、今まで命を狙われた暗殺者に復讐も嫌味も無く普通に自動車で送ってもらうという人間的感情の欠如した人物で、やっぱり登場人物の感情が見えて来なかった。

役者は流石にロバート・レッドフォードとフェイ・ダナウェイは良いけれど、その二人や脇の人達の存在感で持っていて、見ていても「この人は何がしたいの?」でずっとモヤモヤしていた。
他のシドニー・ポラックの映画でもそうだけれど、展開の為に説明を省き過ぎて分かり難かったり、人物描写が薄いという特徴があるのかなぁ?

この映画、始めの訳の分からないままで進む展開はおもしろかったけれど、最後まで訳が分からないままで進まれるのはきつかった。謎の答えの小出しもせず、最後に主人公だけが突然理解する答えとか、正直監督や脚本家が好きにやっているだけ感しかなかった。
フェイ・ダナウェイの役は微妙だし、今この政府組織の内部腐敗やCIAの独断的海外活動の話を見た所で、散々これでまでの映画で見て来た上に、このまったりし過ぎた展開じゃあ引きが全然無かった。

☆☆★★★

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