ザ・スパイダースの大進撃

2016年07月13日 水曜日

中平康監督、ザ・スパイダース主演の1968年の映画「ザ・スパイダースの大進撃」。

アメリカから返って来たザ・スパイダースが空港でのファンの混雑の中でタンバリンが盗まれそうになり、アタッシュケースを落として他人のアタッシュケースと入れ替えられてしまったがザ・スパイダース達は誰も気付いてはいなかった。
公演の日、楽屋が荒され泊まっていた部屋に銃を持った男が侵入して来た。

「ザ・スパイダースの~」と題名が付いた主演映画二作目。
前作「ザ・スパイダースのゴーゴー・向こう見ず作戦」がただ直進し、その間に物凄くつまらないコメディが挟まれると言うクソの様な映画だったからか、今回はサスペンス映画に転身。
ただ、前作もそうだったし、この時代のアイドル映画の定番である、途中に全然別の歌うだけの場面が入るのは変わらず。その為、サスペンスの雰囲気が途中でぶった切られて、訳の分からないアイドル映画でしかなくなるし、前作同様シュールなコメディもあり、それが緊迫感を出す場面の直ぐ後で入るのだからどっちも見せようとしてどっちの雰囲気もぶち壊しているという構成になってしまっていて、構成は酷い。

サスペンス部分も敵もザ・スパイダースもアホなのでサスペンスも無いったらありゃしない。
敵はザ・スパイダースが彼方此方で追っ駆けが集まって来る様な人気スターだと知っているはずなのに、日中に暗殺を謀ったりする大胆過ぎる馬鹿だし、ザ・スパイダース側も銃を持った男に襲われているのに警備を一切付けず行動しているし、何があっても常に警戒心無く呑気でアホ丸出し。これでサスペンスをしようとしているのだから酷い脚本。
しかも、引っ張って引っ張っての書類の謎は何だったかは一切明かされもせず、それを追い駆けていた敵も謎の人のままで終わってしまうと投げっ放しジャーマンっぷり。これがサスペンスなら、クソ。
前作に引き続き脚本は倉本聰で、わたしは多分これと前作しか倉本聰脚本の映画を見た事無いので、倉本聰ってこんな酷い脚本家なのか…という印象しかなくなった。

ザ・スパイダースの面々は若い。
堺正章はやっぱり今の巨匠感は全然無く、見た目のスネ夫感が凄いし、見ていてもむかついて来る様な調子乗りなうっとうしさがある。
日本のインディアナ・ジョーンズこと井上順は見た目は若いけれど、この後と変わらないコメディアンっぷり。
謎の美女役の真理アンヌは綺麗なんだけれど、誰かと似ているなぁ…?と思っていたけれど、ベッキーが似ているのか。

この映画、前作も相当つまらなかったけれど、まだ全編コメディしようとしていた意図は分かったのに、今作はサスペンスを主軸にコメディも入れ、そこにアイドル映画でまとめてしまっているのであちこちがバラバラで、どれもがそれぞれの良さを潰し合い、結局何を見せたいのかはっきりしないブレブレな出来。
今でもアイドルの映画やドラマが何かと文句を言われる出来だったりするけれど、ザ・スパイダースの主演映画見たら、それって日本の芸能界の昔からの伝統じゃんとよく分かる。
人気者の有名人を配役して話題性さえあれば、内容がクソでもそこそこ見に来るアレな人達がいて、儲かるから次々と作り出す構造は変わりはしないのか。

☆★★★★
 
 
関連:ザ・スパイダースのゴーゴー・向こう見ず作戦

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