ザ・スパイダースのゴーゴー・向こう見ず作戦

2016年07月12日 火曜日

斎藤武市監督、倉本聰脚本、ザ・スパイダース主演の1967年の映画「ザ・スパイダースのゴーゴー・向こう見ず作戦」。

ザ・スパイダースのメンバーは「自分の所へ真っ直ぐ来る人と結婚したい」と言った女性の下へ、家があろうと何があろうと直進を続ける。

わたしはザ・スパイダースは全然世代でもないけれど、曲は「なんとなくなんとなく」や「あの時君は若かった」は知っている程度。メンバーも巨匠こと堺正章や、日本のインディアナ・ジョーンズこと井上順かまやつひろしがいるのは知っていた程度で、なんとなく見てみた。

始めから全然意味が分からない。
ザ・スパイダースがアメリカから返って来たという場面から始まるけれど、これが何なのかさっぱり分からない。これ以降アメリカがどうのこうの話は無いし。
どうやらこの映画内ではザ・スパイダースは凄い人気があったのでアメリカに行ってみたけれど駄目で返って来たという設定なのか?しかし、人気のあるはずのメンバー達が町でナンパするけれど全然女性が付いて来ないという展開も意味がよく分からない。人気者だと思ったけれどアメリカで失敗した落ち目のバンド設定なのか、どっちなの?で行き成り話から置いてけ堀。

その後は、松原智恵子の言葉を信じてザ・スパイダース達が直進して松原智恵子を目指すだけという展開になるんだけれど、これがまあつまらない。
色んな所に勝手に入って行ってのしょうも無いドタバタが続き、これが間延びするわでクソみたいな小寒さ。
井上順が刑務所で偶然首吊り死刑になったけれど、次の場面では普通に生きていたり、煉瓦造りの建物の煉瓦一個抜いたら建物が崩壊したけれど堺正章の魔法で元通り…とか、もう意味不明。
コメディだから何でもあり、投げっ放しジャーマンでもどうでもいいという酷い脚本。

そして、その合間合間に完全別場面のザ・スパイダースの演奏場面が挟まれるという、この時代のアイドル映画でよくある映画の流れとは全く関係無い見せ場だけの場面もしっかりと入って、これまた映画を真面目に見る気を失くす。

話はおもしろくないので、完全に若いザ・スパイダースを見るだけの映画。
堺正章のスネ夫感が凄い。痩せぎすで生意気そうな感じで、ここから巨匠と呼ばれる様な今がどうにも想像出来ないし、何で当時人気があったのかもよく分からない。声も今と違うし。
井上順は若くても井上順。今でもある真面目にボケるコメディアン気質はそのまま。しかし、欧米人的な顔立ちで、メンバーの中では浮いた男前。
かまやつひろしもかまやつひろし。喋り方や声も今と同じ。頭も同じ。
その他のメンバーって、誰一人も知らなかったけれど、リーダーのドラムの田邊昭知って田辺エージェンシーの社長だったり、オルガンの大野克夫って大野克夫バンドの人だったりを知って驚いた。ザ・スパイダースって凄い人達が集まってたんだなぁ。

この映画、社会風刺っぽい要素もあるけれど、笑いの部分が全てツルッツルに滑りまくり、今だから若い時の堺正章、井上順、かまやつひろしが色々やっているという部分でしか面白味は無い当時のアイドル映画。
この映画見ると、思い出補正で神格化されがちな昔のアイドルや歌手だって、こんなんだったじゃん…と分かる意味では興味深い。
そう言えば、男塾名物直進行軍って、この映画が元ネタなのかしらん?

☆★★★★
 
 
関連:ザ・スパイダースの大進撃

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