最近「100分 de 名著」がつまんない
2016年02月28日 日曜日「100分 de 名著」は伊集院光が自身のラジオ番組「深夜の馬鹿力」で話していたからだと思うけれど見始め、伊集院光からの自身の経験や考えを交えた名著の見方が面白くて見ているのだけれど、最近「100分 de 名著」がつまらない。
伊集院光や同じく出演者の武内陶子アナウンサーがどうのこうのではなく、名著の選出が不味いし、番組の構成も。
「100分 de 名著」って、番組サイトにも「一度は読みたいと思いながらも、手に取ることをためらってしまったり、途中で挫折してしまった古今東西の“名著”。 この番組では難解な1冊の名著を、25分×4回、つまり100分で読み解いていきます。（番組について）」と書かれている様に、書名や作者名は聞いた事があるけれど、じゃあ読んだ事はあるか？と問われればなく、何となく粗筋を知っているとか、題名しか知らない様な有名作を、その著者や本が書かれた時代背景を交えながら粗筋と共に解説して行く番組だと思っていたし、実際そうだったけれど、最近はその名著の選出が微妙…。
2015年度は、
ブッダ「最期のことば」
荘子「荘子」
ソポクレス「オイディプス王」
小泉八雲「日本の面影」
チャールズ・ダーウィン「種の起源」
太宰治「斜陽」
サルトル「実存主義とは何か」
良寛「良寛詩歌集」
内村鑑三「代表的日本人」
アルフレッド・アドラー「人生の意味の心理学」
と所謂小説は太宰治の「斜陽」位で、「オイディプス王」と「種の起源」以外は思想書が多く、敏感な人の為の自己啓発本の棚に並びそうな本ばかりで、正直飽き飽き。番組の冒頭で入れられる「現代を生きる我々にも…」という様な名著の紹介の仕方にも、いい加減ウンザリ。
別に顧みたり、前向きに進んだりするのは、その名著を読んだ読者が勝手にする事であって、この本読んで顧みなさい！こういう風に生きて行きなさい！という様な事をガンガンに押し付けて来る感じが、もういい。
もう、「100分 de 名著」でなく「100分 de 自己啓発」でいいじゃん…。
多分、この傾向は2015年に入ってから強くなっていて、例えば伊集院光体制になってからの2012年度は、
紫式部「源氏物語」
フランツ・カフカ「変身」
パスカル「パンセ」
ヴィクトール・フランクル「夜と霧」
チェーホフ「かもめ」
鴨長明「方丈記」
アインシュタイン「相対性理論」
サン・テグジュペリ「星の王子さま」
「般若心経」
デュマ「モンテ・クリスト伯」
と短編・長編、随筆、科学書等多彩で、「名著」としての選び方も良かった様に思えたのだけれど。
これだったら毎回見ようと思うのに、最近はサルトルの「実存主義とは何か」からはよく知らない本ばかりで次も外れ感ばかりで、実際早送りして真剣に見なくなってしまったし。
ただ、この最初期のチェーホフの「かもめ」の回は役者達が戯曲を演じながら進められるという構成で、まあこの演技やら演出やらがうっとおしくて見るに堪えず、この回は「100分 de 名著」最低の酷い回で、ほぼ早送りした事は今でも覚えている。
多分、この回以降、中国の思想書や今回のアルフレッド・アドラーの「人生の意味の心理学」でもあった、途中途中に挟まれる相談者が来ての役者達の小芝居場面が多様されているけれど、これが見ていてもつまらないのでほぼ全編早送りにする習慣になってしまった。
それに、各名著を役者が出て来て朗読する場面も、年配の役者でも朗読しているんですよ！感があってわざとらしく感じられてしまい好きではないけれど、特に若手役者の如何にも感情を込めて演技しているんだ！どうだ！感ばかりには辟易して、これも全編早送りにしてしまっている。
この必要の無い小芝居場面も見る気を削ぐ理由だけれど、最近番組の構成も変な感じになってしまっているのは、本の選び方の方向性が悪い方に出ているからの様に思う。
これまでは「この本のここではこう書かれていますが、これは…」と解説して行く事こそが本の紹介でもあり、その本を読み解いて行くという事であるはずなのに、特に今回のアルフレッド・アドラーの「人生の意味の心理学」では実際に「人生の意味の心理学」ではどの様に書かれているかの本文からの具体的な引用がほとんど出て来ず、解説者が延々と自身の解説を続けているだけで、それってアルフレッド・アドラーの考えなのか解説者の考えなのかはっきりせず、見ていても、「人生の意味の心理学」ではそれはどういう風に書かれているの？とずっと疑問ばかり。
もうこれって、名著を読み解いているのではなく、単なる解説者の講演。特に今回は心理学だったので、最早解説者による自己開発セミナー。
流石にこんな感じだと、ラジオに近い感じでテレビに出ている伊集院光を見る為の番組としては番組自体がきついしなぁ…。