荒野の七人

2015年12月15日 火曜日

ジョン・スタージェス製作・監督、ユル・ブリンナースティーブ・マックイーン共演の1960年の西部劇映画「荒野の七人(The Magnificent Seven)」。
黒澤明の映画「七人の侍」を原案にした映画。

テキサスの小さな村では毎年盗賊団がやって来ては食料等を奪って行った。苦しい生活に業を煮やした村人達は町で銃を手に入れ盗賊団と戦おうとするが、町で見かけた勇気ある一人のガンマン、クリス・アダムズに盗賊退治を依頼する。彼らの苦境を知ったクリス・アダムズは六人の仲間を集め出し、村へと向かい盗賊団と対峙する事になる。

結構前に「七人の侍」を見たけれど、その内容の記憶は大分曖昧。そんな中で見てみた「荒野の七人」だったけれど、オールスターの娯楽西部劇として非常におもしろかった。

正義感から来る困った人々への命を懸けた援助に、それぞれ何かしら過去がありそうなガンマン達が集まって行くという序盤の展開は燃える。この七人は役者が皆濃いので登場時点からバンバン役が立ち、そんな濃いいおっさん達が強きを挫き弱きを助ける為に集まって来る時点でワクワクが止まらない。
その後もちゃんと村のあちこちに防御策や仕掛けを作って多い敵を何とか倒そうとする展開から、七人が抱える哀しさ、寂しさ、何も無さを表に出す人生哲学的な展開まで含めて、非常に心地良く一気に流れて見せて行く。分かり易く若者の恋愛も入れたり、大勢が広い場所でバンバン撃ち合うという見せ場まであり、非常に娯楽映画もしていて上手い構成。

何と言っても主演になるのであろう二人の存在感が半端無い。
ユル・ブリンナーは何事にも動じず、凛とした指導者で、その厳格でもあり優しくもある表情がカッコ良い。ユル・ブリンナーは子供の時に「王様と私」を見た様な気もするけれど、多分この映画がユル・ブリンナーを意識して初めて見た映画だと思う。いや、男惚れする俳優だと初めて知った。

スティーブ・マックイーンは昔から好きだけれど、今回の役は結構軽めな兄ちゃん役で、この自分の命がかかっているのに気楽な感じっていうのも、またカッコ良い。
ちょっと視線を外したり、そこら辺の物に触れて見たりと、結構細かい仕草や芝居が多く、一人だけ現代劇をしている感じもした。

この二人がカッコ良過ぎで、「このコンビをまた見てみたい」と思ったら、この映画の続編「続・荒野の七人」も作られたと知ったけれど、しかしこの続編、ユル・ブリンナーは同じクリス・アダムズ役で出演しているのに、スティーブ・マックイーンが演じていたヴィンは別の役者が演じている…。これじゃあ意味無いじゃん。この二人だからこその映画じゃないの?
それに、この映画で非常に綺麗に終わっているのに、そこから続編もするって言うのは蛇足的に思えた。

他の仲間であるホルスト・ブッフホルツチャールズ・ブロンソンジェームズ・コバーンブラッド・デクスターロバート・ヴォーン達も、役と存在感がバッチリはまり、どの役も非常に活き活きと生きている。脚本も上手く出来てはいるけれど、配役の上手さも大いにある。

非常に良い映画ではあるけれど、流石に元の「七人の侍」が三時間半近くもあるのを二時間程に収めてしまったので、描きが足りない部分が多々ある。
七人は何かしらの過去を少し見せるけれど、そこは詳しく描かないので、何故村人達を命を懸けてまで助けようとしているのかの動機がいまいち見えて来ない。ホルスト・ブッフホルツ演じるチコは若さからの憧れや元農民からとかで分かるけれど、他の人々は単に正義感溢れる良い人か、金の為位しか見えて来ず、途中の虚しさを見せてもいまいち葛藤として弱いと感じた。
ロバート・ヴォーン演じる立派な着こなしのリーが皆が戦っている中、こっそり隠れて最後まで中々銃を撃たない理由が分からないし、結局何が決心する理由となり銃を撃ったのかよく分からないし、村人を助けても直ぐ死んじゃっても何だか分からないままの退場だし。
ブラッド・デクスター演じるハリー・ラックも、村に何かしらの金目の物があると信じて村にやって来て、もうこれまでとさっさと一人で逃げて行ったのに、何があって戻って来たのかさっぱり分からないし、劇的に戻って来たわりに対して活躍もせずに死んでしまう展開もどうなの?と思ったし。
ジェームズ・コバーン演じるブリットは、あれだけ時間取ってナイフの振りを入れていたのに、結局最後までナイフ使わず仕舞い。これってスカしの演出って事?
チャールズ・ブロンソン演じるベルナルド・オライリーは、ちゃんと死亡フラグ立てまくって実行されてるけれど、どう見ても死亡フラグ立ってたであろう長老は何事も無いって何だろう?てっきり、盗賊団が長老を人質に取ってあくどい交渉をするかと思った。
盗賊団も、何故かあっさりと七人を追い出してしまうのも腑に落ちない。盗賊団は悪者で、自分達は追い払われたけれど戻って来ているし、あれだけ復讐を誓っていたのだから銃を取り上げておいて村の協力者いない場所で皆殺しにするのかと思いきや、離れた場所で素直に返すって優し過ぎ。この辺りだけを見ていると、約束守らずに皆殺しに戻って来た七人の方が悪者っぽい。
あと、潜入捜査しに来たチコの顔を見ても、盗賊団の誰も「♪お前~誰だよ!」と言わないのが不思議。

この映画で一番響いたのは、チコが言っていた「俺達歌になるぞ」という台詞。この映画の主題曲「The Magnificent Seven」って何かしらで良く聞き、聞けば多くの人が「聞いた事ある!」と言う程のスタンダードになっているもんなぁ。確かにおもしろい映画、印象に強く残る映画の音楽って、後世までに残る。
それに何より、この曲を聞くと映画見ていなくても鳥肌立つ程の興奮と盛り上がりがある。
この曲を作曲したエルマー・バーンスタインって、映画「大脱走」の「大脱走マーチ(The Great Escape March)」もそうなのか。エルマー・バーンスタインは天才。
それに昔の映画って、印象的で、これを聞けばこの映画と分かる位なサウンドトラックを作り上げていたよなぁ。

この映画、後々から思い起こせば結構粗も目立ちはするけれど、この仲間集めから戦いへとの燃える展開や、哀しさや虚しさも抱える展開といい非常に盛り上がったまま一気に見せるし、何より各人のゴリゴリに立った濃い個性を見せるし見入るので非常に楽しく、見終わった後に気持ち良い溜息が出た。

☆☆☆☆★

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