奪還 DAKKAN -アルカトラズ-

2015年11月05日 木曜日

ドン・マイケル・ポール監督・脚本、スティーヴン・セガール製作・主演の2002年の映画「奪還 DAKKAN -アルカトラズ-(Half Past Dead)」。

自動車泥棒のサーシャ・ペトロシェビッチは仲間のニックといた所をFBIによって捕まえられた。サーシャ・ペトロシェビッチとニックはアルカトラズ刑務所に収監されたが、刑務所では金塊を強奪した受刑者の死刑が執行されようとした時、何者か達に襲撃され、それを目撃したサーシャ・ペトロシェビッチは抵抗を始める。

流石のスティーヴン・セガール映画。潜入捜査官と犯罪者の友情。金塊の在り処を言わずに死刑に赴く囚人。人質を取って難攻不落の刑務所に立て籠もった武装集団。囚人達と協力する主人公等々、おもしろくなりそうな要素は一杯あるのに、それが大しておもしろくならないまま終わってしまうという、まあ跳ねない駄目な脚本。
この映画で序盤から一気に見る気を失うのは、スティーヴン・セガールと仲間のニックが自動車を意味も無く飛ばしていて、「止めて!」とニックが言ってスティーヴン・セガールが急回転で自動車を止めると、半ドアだったのかニックの席の扉が開き、ニックが凄い勢いで放り出され他の自動車のフロントガラスに叩き付けられてしまい、「えっ?行き成りもう死んじゃうの?」と思ったら、ニックは特に怪我も無く立ち上がり、一言文句言ってそのまま話が続くという意味不明な場面。ここら辺で早くも理解が追い着かず「ぽか~ん…。」
その後もFBI捜査官が犯罪者に協力を求めに来たのに二丁拳銃で撃ちまくるという馬鹿みたいな場面や、結構な近い距離で銃を撃ちあっているのに中々弾が当たらなかったり、アルカトラズ刑務所の所長が黒い革のジャケットを着てマフィアみたいで衣装の意図が分からなかったり、アルカトラズ刑務所を舞台にしたのにそこに立て籠もる意味があんまりなかったり、わざわざ再びアルカトラズ刑務所を開いたのだからそこに収容されているのはとんでもない凶悪犯かと思いきや皆気の良いチンピラの兄ちゃんや意図せず人を殺してしまった強盗犯とかスティーヴン・セガールに協力させる為だけに存在している人々や、どう考えても刑務官の人数が少な過ぎるのに大量の重火器が置かれていて、これも最後の銃撃戦の為だけの設定で、色んな部分で脚本の安っぽさ、アホらしさばかりが強調されてしまう。
導入で出て来た犯罪組織のボスとスティーヴン・セガールの対立も最後に「逮捕した」の台詞だけであっさり終えてしまい、こんな適当な振り邪魔なだけ。
色々詰め込んでいるのに見終わるとスカスカした印象しかなく、主人公のスティーヴン・セガールも特殊な舞台設定なのに何時ものスカしてただ最強なだけで変わり映えはせず、周りの人達の方が役として立ってしまうという悪い部分もあったりする。

しかも、スティーヴン・セガール映画なのだからスティーヴン・セガールのアクションを期待する所なのに、中盤に何時もの大して動かない省エネアクションはあるものの、活躍するのは敵だったり周りの囚人達だったりと、2000年代以降に量産されるスティーヴン・セガールが働かず、周りの役者ばかりに焦点が当たるビデオ映画と同じアクション場面の少なさ。
それにもう太っているスティーヴン・セガールが飛び跳ねたり、簡単にロープをよじ登ったりと身軽のなのも見映えだけが先行した適当なアクション場面。スティーヴン・セガールの替わりのスタントマンの体型が明らかに違うし。

あと変と言うか、駄目な所は、銃を撃つ場面や殴る場面はあるけれど、その後の何処に弾が当たったのか?そもそも撃たれたのか?とか、その殴りで死んだの?とかを見せる1カットが無く、「何が起こったの?」とはっきりしない事になっている部分。

この映画の中で唯一目が行ったのは敵の女戦闘員のシックス。演じていたニア・ピープルズが「可愛いなぁ…」と思っていたのだけれど、このニア・ピープルズってこの時41歳で驚き。見た目でてっきり30歳前後の若い俳優かと思ってしまった。
それにこのシックスの銃撃場面や格闘場面がやたら多く、動きもやたらと派手で一番目立っていたし。

この映画、雑多に色んな事を詰め込んでいてもどれも大して活かされないままで、中盤以降主役であるスティーヴン・セガールでさえ埋没して行き、スティーヴン・セガール本人も大して格闘場面をしなままという、近年の粗製乱造されるスティーヴン・セガール映画の見事な典型。
こんな映画なのに続編「奪還 2.0」が作られたのだから不思議。しかも、続編はスティーヴン・セガールが出ておらず、画を描いていた囚人のトゥイッチと、この映画には登場していない「ゴーバー」ことあのビル・ゴールドバーグが主役という訳の分からないモノだし。まあ、色んな部分でグダグダな映画。

☆☆★★★

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