スナイパー エリートV2
2015年04月24日 金曜日二月後半の「Games with Gold」だった「スナイパー エリートV2」。
Xboxで出た「スナイパーエリート」のリメイク作。
リメイク作が「V2」で、その続編が「スナイパーエリート3」という番号の振り方に何か変な感じがする二作目。
ちょっとサム・ライミが監督した方の映画「死霊のはらわた(The Evil Dead)」シリーズの二作目「死霊のはらわたII」っぽい感じ。
第二次世界大戦末期、ドイツ軍のV2ロケット開発者達がソビエト連邦へと逃亡しようとしており、ソ連への技術流出を危惧したアメリカは一人のスナイパー、カール・フェアバーンを送り込んだ。
話は逃げる科学者や技術者を阻止しようとする一人のスナイパーの活躍で、小説や映画的な題材で王道ではあるけれど、やっぱり盛り上がるし、非常にゲーム的題材。そして、このゲームの一番の特徴でもある「キルカメラ」によって劇的な映像で更にゲームとして盛り上げる。
この「キルカメラ」というのは、プレイヤーがスナイパーライフルで撃ち、敵を一撃で撃ち殺すヘッドショットや胴体を撃ち抜くバイタルヒットを決めると銃身から撃たれた弾にカメラが固定され、そのまま飛んで行く弾道をスローモーションで追いかけ、敵の体に当たるとレントゲンの様に骨や内臓に弾が撃ち込まれる所が描写されるという仕組み。
これが決まると中々気持ち良く、主人公がスナイパーなので遠くから撃つと言う単調になりがちな銃撃戦の中で、所々この「キルカメラ」が入る事によって減り張りが出され、おもしろくなる演出。ただ、これに慣れてしまうと何度もまざまざと見せられる人体の破壊の連続に気分が悪くなって来るし、敵とはいえ、超人的な主人公が相手を殺しまくって行く恐怖と違和感を強く感じされられてしまうという逆効果もあるにはある。
それにこの「キルカメラ」が派手ではありゲーム的には中々独創的ではあるけれど、スナイパーを取り上げたゲームとしては結構微妙。
「スナイパーエリート」という題名から勝手に「ヒットマンシリーズの様に、標的を探し出して、最も良い狙撃場所を見つけ、スナイプして気付かれずに脱出する」様なゲームかと思っていたけれど、本来の目的である標的はある程度敵兵を倒してからでないと出て来なかったり、狙撃場所はほぼ決められていて、問題解決の方法がほぼ一通り。周囲の爆撃音や鐘の音で銃撃音を消して相手を撃てば敵は気付かないけれど、遠距離から撃ってしまっているので死体を隠す方法も無いので死体を直ぐ発見してしてこちらの存在に気付くし、こちらは隠れているのにも関わらず速攻で敵兵が押し寄せたりして、ほぼ完全スニークで一人一人を排除して行くのが無理。消音ピストルもあるにはあるけれど、目の前の敵を倒しても遠い建物に敵スナイパーがいるのでどうやっても気付かれるし。結局一発銃を撃って敵を倒すと敵兵がワラワラ湧いて攻撃して来るので、よくあるFPSと変わらない展開になってしまう。「気付かれずに敵を狙撃して、気付かれずに去って行く」というゲームを期待してしまった分、この隠密行動が取れないのが何とも鬱憤が溜まる所ではあった。
その隠密行動が取れない一つの理由としては、敵の異常な程の索敵能力がある。こちらは広場を歩いている敵等は目視で簡単に確認出来るけれど、行動範囲外の建物の隙間や屋根とかにいる敵スナイパーとかになると相手が撃って来てやっと大体の方向は分かるものの、何処にいるかは双眼鏡かスナイパーライフルのスコープを覗いて確認して分かる位なのに、敵はこちらが壁等に隠れているにも関わらず、少しでも体の一部が見ているらしかったら物凄い遠い距離からでも目視で簡単にこちらの居場所を判断して撃って来る程の異常な目の良さと、常に広く気を抜かず監視出来るほぼ超能力と言うべき恐ろしい能力を持ってしまっている。なのに、敵の真横より少し後ろを中腰の忍び足で近寄って行っても全く気付かず、主人公に素手で殺されてしまう気の抜き様だったりもしてしまう。訳の分からない凄さと馬鹿さ。
それに一面一面はそれなりに広くはあるけれど、行ける所は決まっていて狭く感じてしまう。全10面と長さも短く、もう二三展開は欲しかった。
しかし最終的にプレイ時間は結局24時間位になってしまったのは、実績「スナイパーエリート(最高難易度で全ミッションをクリアする)」を取る為に最高難易度で二週目をした事もあるけれど、「隠しボトル」と「盗まれた金塊」という何故か二種類もある収集要素を全て集めたから。
普通ゲームで隠れた何かを探すという収集要素って、それを集めると何かになるから集めたりするのに、このゲームの収集要素の「隠しボトル」と「盗まれた金塊」は集めたからって特に何かある訳でもない。「隠しボトル」は一面の何処かに大体3・4本ボトルが置いてあり、それを撃ち抜くとボトルが壊れる…というだけ。「盗まれた金塊」は地面の何処かに一面につき大体10個も金塊が落ちていて、それを集めると銃を改造して高性能に出来る…という事も無く、ただ集めるだけ。
ゲーム的には小さなボトルを見つけて撃ち抜くという方が「スナイパーエリート」的だけど、そもそも何でボトルを見つけて撃っているのか訳が分からないし、一方の金塊の方はまだ舞台設定上集める意味も分からなくはないけれど、何で瓦礫と化した町の道端に一本だけ金の延べ棒が落ちているのかも意味が分からないし。そもそも何で収集要素が二種類もあるのかの意味も分からない。無駄な収集要素にしか思えなかった。
この「隠しボトル」と「盗まれた金塊」は、「隠しボトル」は平気で行動範囲外の建物に置かれていたり、通りのこちら側からだと見えるけれど、そこからずれると全然見えなくて気付かない様な物凄く細かい所に置かれていたり、「盗まれた金塊」は町のほとんどが瓦礫となっているのでよく落ちている煉瓦と見間違えるしで、探すのに物凄い時間がかかった。もう早い段階で面倒臭くなっていたので、海外の写真付き攻略サイト見ながら進めていたし。それでも「何処?ここら辺のはずなのに無いじゃん!」と見つけられない事も多々。
「隠しボトル」と「盗まれた金塊」を全て集めたのは実績解除の為だけれど、実績解除の一番の難所はオンラインの部分。二月後半の無料ダウンロード時期にはこのゲームしていなくて、本格的にマルチプレイし始めたのが三月入って中盤頃だったけれど、それでも中々マッチングしなかった。「無料だったのに何でこんなに人いないの?」と思って調べてみたら、このゲームの日本語版は日本でしかマッチングせず、海外版とはマッチングしない隔離サーバーだと知って焦った。一ヶ月程経ってしまうと夜から深夜にかけての時間帯でも人がいないので、「最早オンラインの実績は無理か…」と諦めつつ、とにかくゲームを探している状態のまま何時間も放置。別の事やりながら待っていると時々ゲームに参加して来る人がいたので、何とか実績解除に必要なマルチプレイだけをして、全解除する事が出来た。
このゲームの一番の難敵はマッチングだった。
この「スナイパー エリートV2」、出荷数が少なかったのか、今でも中古ではあんまり値段が落ちていないみたいだけれど、正直その値段分のおもしろさはあるかと言えば微妙。旧作のリメイクとは言え、特に意味は無いのに二種類もある収集要素。短さを感じる面の少なさ。単調にならないようにしてはいるけれど、結局似た様な撃ち合いになってしまう展開等々、もう少し詰めれば良い感じになるのに…と思ってしまう、後一歩、二歩、三歩の物足りなさを感じてしまったゲームだった。