ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い

2014年12月08日 月曜日

トッド・フィリップス製作・監督、ブラッドレイ・クーパーエド・ヘルムズザック・ガリフィアナキス出演の2009年の映画「ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔いThe Hangover)」。

ダグ・ビリングスは結婚式を数日後に向かえ、親友二人と新婦の弟と一緒に独身最後のハメ外しの為、ラスベガスへと行く。朝起きてみるとホテルの部屋は滅茶苦茶。しかもダグ・ビリングスの姿が見当たらず、何処を探しても彼はいない。しかも、残された三人は昨夜の記憶が全く残っておらず、僅かな手掛かりを元にダグ・ビリングスを探し出そうとする。

この映画、アメリカで大作でもなく、有名俳優が出ている訳でもないのに、その内容で大ヒットし、シリーズ化され、日本では劇場公開されないはずだったのが話題になり劇場公開されたという底力を見せた映画なので、わたしも期待して見たけれど、その期待は全然越える事も無く、思ってた以上におもしろくはなかった。
序盤からすぐ下ネタに走り、それがおもしろかったら良いのだけれど、しょうもなく下品な下ネタ連発で完全に外され、その後も下ネタ続きにドタバタしたコメディで、如何にもなアメリカンコメディで大して笑えず。もっと忍ばせたり、くすぐる様な笑いならニタニタ出来るのに、弩直球なアメリカンコメディってホント駄目。
それに調子乗り過ぎてやり過ぎな部分も多く、謎の中国系のボスのふざけ方とか、一応ネタ振りはあったけれど、打ち合わせも無くアランがポーカーで荒稼ぎしてしまう所とか、マイク・タイソンを出してしまう所とか、ギャンギャンに滑りまくり。確かにマイク・タイソンが出て来た時は笑ってしまったけれど、出落ちだし。あとは、警察でのスタンガンの練習台の所なんか、大人達の「コメディやってますよ!」感が物凄くて、全く笑えなかったし。

構成の部分では結構おもしろくて、起きたら記憶が全く無く、花婿がいない所から徐々に起こった出来事を調べて行くのは非常にサスペンス的な展開。ただ、間々にしょうもない笑いを挟むと「どうなるの?」感がプツプツと切れるので、物語の次へ次へという期待が半減。それに、それぞれの事件はそれ程ダグへとは繋がらず、結局は昨晩の無茶苦茶の後追いを見せていて、しかもそれらは、「どうやって警察署からパトカー盗む事が出来たの?」とか、「豪邸で警備も厳しいはずのマイク・タイソン邸から、虎をどうやって盗み出し、何で大人しくホテルまで連れて来れたの?」とかの理由は一切見せず仕舞い。

おもしろいのは人物の扱い。初め主人公っぽかったダグはほとんど登場せず、残りの三人が主役になり、しかもその三人はアランは記憶無くす前後も頭のおかしい奴、スチュは真面目からアラン以上にヤバい奴という本性が見え始め、一番適当で遊び人だったフィルが本当は一番しっかりしていて良い奴と、徐々に三人の変化を展開を引っ張る要素としても使いながら見せて行くのが上手かった。その分、最後はダグが物凄く薄く見えてしまうのだけれど。

あとは、音楽の演出も結構分かり易い感じでいまいち。「ここが笑い所ですよ!」と決めの音楽の使い方とかも笑いに乗って行けない部分。こういう音楽の演出がどうにも嫌い。
調べてみたら劇中で使われている音楽は数年前にヒットした曲を使っている様だけれど、これって他のコメディでも思うのは「それっておもしろいの?それとも、上手い選曲なの?微妙な古さを狙ったダサさの笑いなの?」とさっぱり分からない。それと、「恋のマイアヒ」をサンプリングしたT.I. featuring リアーナの「マイアヒ・ライフ(Live Your Life)」が使われていたけれど、「恋のマイアヒ」って日本では空耳アワー的な歌詞で人気が出たのに、アメリカではヒットして有名な曲だったのだろうかもよく分かんない。

この映画、設定や人物の変化や展開がおもしろいけれど、肝心なコメディの部分ではわたしはほぼ笑いが無く、しら~っと見てしまった。もうこれは笑いの好みでしかないけれど、笑いがはまらないと滑り続けたままになって、どれだけ上手くてもおもしろくはなかった。

☆☆★★★

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