エイリアン4

2014年12月01日 月曜日

監督ジャン=ピエール・ジュネで作られた1997年の四作目「エイリアン4(Alien: Resurrection)」。主演はもちろんシガニー・ウィーバー

前作で死んだはずのリプリーは、エイリアンを宿した実験体用のクローンとして復活。軍の宇宙船内で秘密裏に研究されていたエイリアンが脱走。その宇宙船にエイリアンの寄生用の人間を運んで来ていた貨物船の乗組員達とリプリーがエイリアンから逃れようとする。

死んでしまったはずのリプリーを生き返らせてしまった事で何だか訳が分からなくなってはいるけれど、結構この映画好き。
リプリーがエイリアン用に作られたクローンなのでエイリアン贔屓で、これまでのはっきりとした「エイリアン、ぶっ殺す!」から、「意外と愛おしい…。」に変わり、リプリーがエイリアン化していて、結構エイリアン寄りな人物になっている事がおもしろく、本人もそれを自覚しながらも人間の部分でエイリアンと対峙するという、今までの「エイリアンと戦う最強の女リプリー」とは一味違う人物になっている。ただ物語の構成が、今までリプリーの物語だった事を嫌ってかどうかは知らないけれど、このリプリーを中心に置いてはいるけれど彼女の話の分量は少なく、他の人物に話を割いているので意外と話が散漫。他の人物も、軍の司令官や貨物船の船長は重要人物っぽく登場したのに早くもあっさり退場したり、襲われたエイリアンはすでに死んでいて、自分はまだ全然生きていて水に落ちだけなのにそれ以後全く出て来ず死んだ風な仲間とか、それぞれ雰囲気はあるのに、それが全く活かされていない人物が多過ぎ。ウィノナ・ライダーもアンドロイドだけれど、「そうプログラムされているから…」で人間との対比にはなりきれておらず、シリーズのお約束だから位の理由で別にアンドロイドである必要性も無い感じ。

演出的には、前半はカメラを移動させながら寄ってから更に移動させて寄るとか、おもしろい動きを見せているけれど、後半になると編集が早かったり、動きが激しい場面が多くなるからか、そのカメラの動きも減り、前半にあった工夫も無くなり、後半では普通なアクション映画になってしまっている感じ。

出演者陣は、やっぱりシガニー・ウィーバーは「エイリアン」シリーズでは本当に輝く。リプリーは当たり役だし、はまり役。今までのシリーズでは、デカいエイリアンと対峙していたのでそれ程シガニー・ウィーバーの大きさは感じられなかったけれど、今回は身長5フィート3インチ前後のウィノナ・ライダーがいるので、存在感含めシガニー・ウィーバーはデカく見えた。ただ、この当時48歳にも関わらず若く見えてはいるけれど、今回はクローン役なので、結構歳行ってからのクローンになってしまっていて、何で元のリプリーよりも年齢行っているのか分からなくはなっていた。
それに意外と他の出演陣も豪華。ウィノナ・ライダーや、ロン・パールマンブラッド・ドゥーリフといった良く見る顔や、どっかで見た事あるなと思ったら「CSI:科学捜査班」のウォリック・ブラウン役でお馴染みゲイリー・ドゥーダンだったり、同じくどっかで見た事あるなと思ったら「ER」のドゥベンコでお馴染みリーランド・オーサーが出ていたり。

この映画、一作目の閉じた宇宙船内、二作目の武器を持った多人数で戦う等、良かった要素を盛り込み原点回帰の感があり、更に新たな展開を見せ、「エイリアン」シリーズとしては悪くはないけれど、そんなに良くも無い映画。物語の盛り上げがバラバラとした感じや、統一感のある様で無い様な雰囲気、乗り切れない流れと、もう少し脚本を詰めればもっとおもしろい気はする。しかし、リプリーという人物が更なる変化を遂げ、エイリアン化しているのはおもしろいし、このリプリーで数百年かけてやっと地球に帰って来られたけれど荒廃している地球での対エイリアン戦の続編が見てみたい所。

☆☆☆★★
 
 
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