アナライズ・ミー

2014年10月11日 土曜日

ハロルド・ライミス監督・脚本、ビリー・クリスタル製作総指揮、ロバート・デ・ニーロ、ビリー・クリスタル共演の1999年の映画「アナライズ・ミー(Analyze This)」

マフィアのボスであるはポール・ヴィーティは刑務所に服役していたが、誰かに暗殺されようとしていた。そこで精神障害を演じて、以前診てもらった精神科医のベン・ソボルに刑務所から連れ出してもらった。ただ、ベン・ソボルの家での保護観察となり、ポール・ヴィーティを犯罪から足を洗わせ真面に生きさせようとするベン・ソボルと、自分を狙うマフィアのボスをどうにかしようと企むポール・ヴィーティなのでてんやわんやの騒動になる。

調子乗りで軽さもあるけれど生真面目で、マフィアを辞めさせようとするビリー・クリスタルと、辞めたい気持ちと今までやって来たマフィア稼業を辞めたくもない気持ち半々のロバート・デ・ニーロのコメディで、これがおもしろい。設定はよくある「普段なら会わない相反している二人が共感したり、突き放したり」というモノなんだけれど、芸達者な二人が対照的な人物を面白可笑しく演じるので見ていてもずっと楽しめるし、脚本が少々強引な所もあるけれどそこも気にならず、最後まで一気に見れる。
ロバート・デ・ニーロと言えば、それまで厳つい顔のマフィアだったり、ヤバい人が多かったのに、それをパロディ化した様なマフィアのボスを自身で演じ、しかもマフィアのドラマのアドバイザーになり、本人はそれ程真剣でも無いのに周りの制作陣や役者に対して結構適当に指示を出したりするという、ロバート・デ・ニーロ自身へのパロディまで見せ、そこでもおもしろい。やたらと助言を求めて来て、相手に殴られても役作りが出来て喜んでいる役者に困っているロバート・デ・ニーロなんて、自分自身のパロディと言えども凄い事するなぁ。ロバート・デ・ニーロって今ではここら辺りからのこういった自身のパロディ的な役が多い印象があって、これでの笑顔なんて元どーよのテルはそっくりで、ロバート・デ・ニーロはもうコメディ畑の人にしか思えて来ない。
一方のビリー・クリスタルも、真面目なのに所々すぐ調子乗っていちびってしまう感じが良い。こういう人が精神科医だなんて、どうなの?という疑問はあるけれど。それにロバート・デ・ニーロの役も、下品で暴力的で汚い事ばっかり言っているのに、やたらとミュージカルに詳しく、ちゃんとミュージカルの歌を歌うマフィアって何なんだ?とも思うし、ちょっと二人の役が笑いに走った為、役柄に相応しくない変な感じが出てしまうのは勿体無い気もする。

上手いと思ったのは、ロバート・デ・ニーロの役のマフィアのボスは、多分これまで人殺しもして来ただろうし、相当悪い事したから刑務所にもいるはずなのに、映画内ではロバート・デ・ニーロが人殺しする場面は無く、刑務所に入っている理由も明かされずで、「決して彼は悪くはないんだよ…」と思わせる様に作ってある事。これでロバート・デ・ニーロを悪人として見せてしまうとビリー・クリスタルの意味は無くなるし、そもそもコメディにならないからこの様な見せ方なんだろうけれど、悪事を見せない事でマフィアのボスから真面な人間へと変化している感じも見せる所なんだろうなと思う。

この映画、話はありがちだけれどロバート・デ・ニーロとビリー・クリスタルの演技と存在感で非常におもしろくなっている。この映画の二人見ていると、つい笑いが漏れてしまう。逆に言ってしまえばロバート・デ・ニーロとビリー・クリスタルでコメディをする時点で勝ちなんだろうけれど。

☆☆☆☆★

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