スカイライン -征服-

2014年09月19日 金曜日

グレッグ・ストラウスコリン・ストラウス製作・監督、エリック・バルフォー主演の2010年のSF映画「スカイライン -征服-(Skyline)」。

友人の誕生日会にやって来たジャロッドとエレイン。
友人が住む高層マンションの部屋で寝ていると街に謎の光が落ちて来て、その光を見た友人は引き付けられる様に歩き出し突然消えてしまった。
ジャロッドと友人は街の様子を調べる為に屋上へと行くと巨大な物体が幾つも降下し、人々を吸い上げているのを目撃したのだった。

「低予算で侵略SFを撮ったら、こんなん出来ました」な感じの映画。
ほとんどがマンション内での話で、そこで力も無い普通の人々がどうするかを描き、その人間の行動を見せる意図ではあるけれど、登場人物も少ないし、人々の話は地味で、一方の外の侵略は派手なCGの多用なので、単にCGを見せたくて仕方ないだけなんじゃないかと思える地球侵略SF映画。
発想勝負の映画とは言え、既存の映画の引用と言うか、そのまま拝借してしまった様な要素が多くて「何だかなぁ…」と悪い溜息ばかりが出て来る。
大勢のパーティーからの得体の知れない巨大な物体による危機。しかも急に手持ちでブレまくったカメラの映像とかは「クローバーフィールド」っぽいし、人間をさらって行く宇宙船とか、部屋の中を探す飛行物体とか、血管浮き出ている所とかもろに2005年の「宇宙戦争」っぽいし、空を飛んでいる烏賊?蛸?っぽい飛行物体は「マトリックス」シリーズのセンチネルだし、それが地上に降りて顔らしきモノを見ていると「インデペンデンス・デイ」の宇宙人っぽいし、謎の飛行物体から次々と小さい飛行物体が飛び出し、人間の戦闘機と空中戦を繰り広げ、最終的に一隻の戦闘機が残ってミサイルを撃って追撃するなんて「インデペンデンス・デイ」そのまま。
その様子をテレビで見ているなんて、最早パロディ映画。
話も、恒星間を渡って来れる位の科学技術を持っていながら人間を奪いにやって来るのは賢いのか馬鹿なのかさっぱり分からない侵略SFの飽き飽きする程の毎度の「突っ込む方が野暮」という開き直りの詰めていない設定も安っぽさを増してしまう。
結局その設定も最後の一ネタをやる為だけのモノだけでしかないので、そこら辺はどうでもいいのだろうなぁ。
それに周りに危機があり、閉鎖された空間内の群像劇を描くにしては脚本が薄過ぎ。
葛藤や対立が突然で説得力が弱く、会話劇はおもしろい訳でもないし、人物達の構成や対立も素っ気無い位薄味だし。

CGで安く何でも描ける様になったけれど、人との合成は少な目で、基本は描き易い街等の背景での合成が多いCGの使い方が多く、出来の良いゲームのCG的な安さもあって、CGの使い方の微妙さも映画の微妙さに繋がっている。
これは映画じゃなくてゲームにした方がおもしろそう。
前半はどうやって逃げるかのサスペンスで、中盤から最後のあれで反撃するFPS的な格闘ゲームで行けそう。

主演のエリック・バルフォーって、「24」でシーズン1と6という変則的な登場で、あっさり退場してしまったマイロ・プレスマン役の人か。やっぱり顔長いなぁ。

この映画、これまでのSF映画に対するオマージュ映画と言えば聞こえは良いけれど、単にこれまでのSF映画の美味しい所を寄せ集めたのに全てが薄味のままで、どれも印象に残らず終わってしまう。
ストラウス兄弟がSF映画が好きなのは分かるのだけれど独自性が見えず、二次創作では駄目なので少し違う感じにした感が物凄い。
登場人物達を見せるはずの構成になっているのに、全然脚本が駄目でうっす薄な人間模様なのに、やたらCGを見せたがる感じもお金をかけて作った自主映画みたい。

☆☆★★★
 
 
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