マックィーンの人喰いアメーバの恐怖

2014年09月16日 火曜日

アービン・ショーテス・イヤワース・ジュニア監督、スティーブ・マックイーン主演の1958年の映画「マックィーンの人喰いアメーバの恐怖(The Blob)」。

夜、彼女とデートしていたスティーブ・アンドリュースは隕石が落ちたのを見て付近に行ってみると、片手を謎のスライム状の物体に憑りつかれた老人を発見する。その老人を医者に連れて行くが、スライムはドンドン大きくなり、やがて老人が消えてしまい、医者も襲われてしまう。町の人々に脅威だという事を知らせようとスティーブ・アンドリュースが奔走する。

幾ら1950年代の映画とは言え、全てがもっちゃりしていてつまらなさ過ぎる。謎の怪物はスライム状でただブヨブヨしているだけ。そのブロブは何だか知らないけれど人を襲ったらしく、どうしたのか分からないけれど人が死んだみたい。これは「謎の怪物を映す。人が倒れる」みたいな演出と編集なので、話的には襲われて死んだらしいけれど、映像的にはさっぱり分かんない。ブロブを見たのはスティーブ・マックイーンだけで、他の人に話しても信じてもらえず、特に進展もしない同じ説得話が延々と続く。証拠が無いので誰も信じないのに、仲間達に話すと理由も分からず、急に彼の話を信じてしまう。ブロブが出て来たと思ったら、スティーブ・マックイーンが友達と自動車競走始めたり、警察官がチェスしたり等々、本筋を特に膨らます訳でもないどうでもいい場面が急に挟まれ、しかも長く、本当に散漫。
演出も退屈で、本来なら緊迫する場面なのに一場面を長く回しており、緊張感なんてありゃしない。合成もとても酷く、巨大化したブロブが襲う場面は写真に撮った景色にスライムをぶつけるだけという自主製作のコメディかと思える位の酷さ。音楽も変で、始まりからして軽快な音楽で始まって全然ホラー映画やパニック映画の音楽ではなく、「あれ?この映画って何のだっけ?」と首を傾げてしまう。スティーブ・マックイーンと彼女の二人の場面では、話しているのがブロブに関する考察や危険さなのに、メロドラマで使われる様な緩やかな音楽が流れていて、場面と音楽がチグハグ。終始音楽の演出が抜けていて、恐怖映画なのに恋愛映画みたいで、コメディみたいになってしまっている。

スティーブ・マックイーンがこの映画で映画初主演したらしいから見てみたけれど、初主演だからか唯一スティーブ・マックイーンだけが張り切って演技している分、スティーブ・マックイーンが哀れになって来る。まあ、この後大スターになるから良いとは言え…。
この映画に登場する女性の服装とか自動車とか見ていると、「スティーブ・マックイーン主演なのに時代が古い!」…と思ったら、1958年の映画だからそりゃそうだ。スティーブ・マックイーンって1960年代後半から1970年代前半の印象が強いので、1950年代の感じが何か違和感。スティーブ・マックイーンってもっと若いと思っていたけれど、1930年生まれなんだよなぁ。この映画のスティーブ・マックイーンも見た感じが若いのか歳取っているのかよく分からない老け顔だし。

この映画、全てが駄目な所ばかり。間延びしてグダグダと何を見せたいのか分からない場面が延々と続き、恐怖映画なのに恐怖も緊迫も無く、物凄く平板。スティーブ・マックイーンが出ていたから見られるけれど、そうじゃなきゃ駄作もいいとこ。スティーブ・マックイーンが出ていても駄作なんだけれど…。

☆★★★★

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