フル・モンティ
2012年12月08日 土曜日ロバート・カーライル主演の1997年のイギリス映画「フル・モンティ(The Full Monty)」。
鉄鋼で栄えたシェフィールドは、今や鉄鋼業も廃れ、町も落ち込み多くの人が失業していた。主人公達も失業し、家庭生活も上手く行かず、しょぼくれた日々を送っていた。そんな中それぞれが金に困り、ストリップが儲かる事に気付き自分達もストリップを始める。
所謂成長譚、成功譚なのだけれど、ストリップでのそれなのでもちろんコメディ。下ネタでの笑いなんだけれど、イギリス映画だからかアメリカ映画程あからさまな笑いの連続の取り方ではなく、結構ほのぼのした笑い。イギリスと言うともっと黒い笑い、皮肉に満ちている笑いかと思ったけれど、この映画自体ほんわかしている。弩下ネタなのに優しい映画。
登場人物のおっさん達は落ち込んでいるけれど、基本的に中学生や高校生の様な子供っぽく、しょうもない悪戯好きの調子乗りなので、陰々滅々とはならない。この人物設定がこの映画の成功の大きな要因。六人のおっさんは年齢や背景も違う人達の集まりで、それぞれが見た目も性格もきっちり個性が立ち、この人物達を見ていると楽しくなって来る。
ストリップだから踊らなくちゃ…という事で「フラッシュダンス」の映画を皆で見るのだけれど、踊りじゃなくて溶接に関して下手だの突っ込んでいるのがくすぐられた。そういう突っ込みを映画内でするのって結構好き。
学生がスポーツや音楽で更生なんてよくあり、その手の映画は大して面白味が感じられないけれど、おっさん達がストリップするという所で持って行かれた。発想の勝ち。この手の映画だと、一番盛り上がる最後の場面で全てが綺麗に上手く行ってしまい、感動の押し売り的な演出になる事が多いので一気に冷めてしまう事が多いけれど、これは尻丸出しの素っ裸のおっさんという非常にしょうもない場面なので、ニタニタ笑いながら盛り上がったまま終わり、しかも後味が良い。
話的にはきっかけ、上手く行っている所でつまずく、でもやっぱり皆まとまり上手く行くと、非常に王道、ベタな展開だけれども、人物の設定とその登場人物の描き方で非常に楽しい、しかもほんわかする中々良い映画に仕上がっている。
☆☆☆☆★