ザ・ダメージ

2014年08月23日 土曜日

ジェフ・F・キング監督、スティーヴ・オースティン主演の2009年の映画「ザ・ダメージ(DAMAGE)」。

ジョン・ブリックナーは数年前に人を殺してしまい服役。模範囚として仮出所したのでやり直そうとしていたが、殺してしまった相手の奥さんが現れ「自分が仮出所を嘆願した。病気の娘の命を救う為にお金を工面しろ」と言われる。その娘に会ってしまったジョン・ブリックナーは地下格闘で金を稼ごうとする。

過去を後悔し、真面目に生きようとしているけれど、他人に対する優しさと許しから自ら危ない世界に踏み込んでしまう哀しい中年男性の物語。
ストーン・コールド・スティーブ・オースチンは負けた相手を気遣う様な優しく非常に大人しい人物で、単なるB級アクションばかりだったSCSAの映画の中では特異な設定。なので、ガラスの割れる音と共に厳つい顔で荒々しく歩いて来るSCSAの面影はなく、顔が非常に優しく、哀しい。その哀しさ溢れる顔は、この映画を見せ続けさるだけのモノがある。
話も、SCSAと被害者家族、地下格闘のマッチメーカーと恋人という登場人物に絞り、それぞれの微妙な関係性を見せ、話をきっちりまとめているので中々見せる。
ただ、アクションが地下格闘なので、終始男二人の普通の殴り合いばかりで、非常に地味。現実味を求めての事だろうけれど、素人同士のただの殴り合いなので映像的にはもう少し派手な気を引くモノが欲しい所。殴り合いが何度も続くと結構飽きる。それに最後の油まみれになっても復活して来る所の、何で全身油まみれでないといけないのかの演出意図がよく分からないし。他の役者の殴る演技はあんまり上手くないけれど、SCSAは流石に殴るのは上手い。相手をボッコボコで人気が出たプロレスラーだけある。

この映画、小作だけれど中々良い出来。終始大人しめの展開と哀しさ溢れるSCSAの演技で、派手だけれど安っぽいB級映画専門の印象が強いSCSAの映画の中ではピカイチ。落ちぶれて後ろめたさを感じているけれど、そこに何か光を求めて生きようとする人々の話で、この切なさが良い。

☆☆☆★★

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