ストリート・オブ・ファイヤー

2014年08月14日 木曜日

ウォルター・ヒル監督・脚本、マイケル・パレ主演の1984年の映画「ストリート・オブ・ファイヤー(Streets of Fire)」。

トム・コーディーが町に戻って来ると、トム・コーディーの元恋人で凱旋ライブを行っていたエレン・エイムが町のギャングであるボンバーズに拉致された事を知る。トム・コーディーは偶然知り合った女兵士と共にエレン・エイムを救いに行く。

この映画、酷い。初っ端から「?」で付いて行けず。場所は思いっ切り1980年代のシカゴなのに、登場した人達の服装や髪形が1960年代風で行き成り「?」。しかも話や展開はどうやら西部劇風らしく、もうポカーン…と呆れっ放し。更に所々でやたらと歌が入るので物凄いゴチャゴチャしていて何のこっちゃ?で、ずっと置いてけ堀。例えば、今の日本で登場人物達の服装が1990年代風の男性は皆肩パット入りのダブルのスーツで、女性がワンレンに原色のボディコン。そんな人達が義理人情の仇討モノをやり、しかも途中途中に登場人物がラップ入りの歌を歌っていたら、もう意味不明過ぎる設定だけれど、それ位のグチャグチャをこの映画では普通にしているのだからずっと頭の中は「???」。

それに展開が馬鹿みたいで、頭の悪い中学生が勢いに任せて書いたかの様な酷い脚本。何故か町のチンピラが有名歌手を拉致するけれど、その理由はよく分からないまま。その歌手を主人公が助けに行くけれど、銃を持っているので激しい銃撃戦があるのかと思ったら銃撃戦など無く、大勢の敵は慌てるだけで一切反撃しない。主人公側はたった二人なのに、町のゴロツキが大勢いる中からあっさり救出。しかも敵の巣窟に乗り込んで行くのは女兵士の方で、主人公は何しているかと言うと外でバイクを破壊するだけ。その後主人公達は逃げ回るけれど、途中途中で新たな人物達が何の理由かも分からず付いて来る。特に一人の少女なんて何で付いて来たのかは意味不明だし、その後にその少女が活躍したりする事も一切無いし、そもそもそれ以降出番が一切無く、何で出て来た、出したのか意味不明。最後は主人公とウィレム・デフォーとの一騎打ちになるけれど、何故か拳での殴り合いではなくスレッジハンマーを振り回し合う意味不明さ。敵の手下が大量に現れ銃も持っている所へ、突然町の人々が銃を持って大勢現れ無事解決…。他の多くの事もそうなんだけれど、それまでの振りなんて一切無いまま突然話が展開して、まるで三時間位ある映画を二時間弱のテレビの放送枠に無理やり押し込む為に適当に編集しまくったテレビ用映画の様。観客に話を見せる事が目的ではなく、ウォルター・ヒルが好きな事をしているだけ。なので見ていても「これは何?」がやたらと多い。

それに人物描写も酷く、主人公は常に格好付けているけれど人物の背景が全然無いので、何をしていてもペラッペラ。粋がって格好付けている中高生を見た時の「うわ~…」というあの小寒さばかり。行動も自動車が欲しいから道を走るバスを止めて、乗っていた人も一緒に連れて行く馬鹿さだし。他の人物も、元恋人も悲劇のヒロイン風だけれどやっぱりペラッペラの薄さだし、相棒の元兵士の女性も色々言う割に人物は薄いし。

演出も変。初めに主人公がダイナーにやって来て、ダイナーの女性に遠くから少し微笑むだけなので、その女性はてっきり元恋人かと思ったら実は姉。久々に姉にあった状況として変じゃない?それに主人公は終始ハードボイルド風に寡黙にいるのに、後ろでかかっている音楽は80年代の結構ポップな音楽なのでチグハグ。
その音楽自体もダサい。始まりの「Nowhere Fast」から1960年代風のロックン・ロールのバンドが演奏を始めるのに、音は完全に80’sポップスで「あれっ?」と思い、ダイアン・レインが歌い出すとボニー・タイラーの「Holding Out for a Hero」っぽい歌で「うわ~80年代のこのダサい感じ…」と行き成り心が離れてしまった。別に曲だけなら楽しいのに、80年代の映像と曲が合わさると物凄くダサく感じてしまうのは何なのだろう?しかも、60年代風の雰囲気なのに、音や曲調は思いっ切り80’sポップスなチグハグもズッコケてしまう。

この映画、脚本が振りも無く、ただしたい事を並べているだけで酷いモノだし、台詞回しは終始寒いし、全く持ってつまらない。時代の雰囲気もバラバラ、グチャグチャで頭の中がグッチャグチャ。80年代のあのダサさだけが爆発し、見ている途中から中身がスカスカしている事に気付くけれど、終わってみると一時間半程あるのに30~40分位しか見ていない感じがする程スッカスカ。駄作…と言うか、クソみたいな映画。

★★★★★

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