TRICK 新作スペシャル3

2014年01月13日 月曜日

主役二人の出演料が上がったから深夜帯での好き勝手な連続ドラマが出来なくなったからか、テレビでは最早映画版の宣伝の為の特別版となってしまっている感が強い「TRICK」シリーズの新作「TRICK 新作スペシャル3」。
今度の映画「トリック劇場版 ラストステージ」でトリックシリーズは終了という事らしいので、このスペシャルが最後のTV版か…。

山田と上田の二人が呪いや超常現象に見せかけた殺人事件を解決するという毎度の展開だけれど、今回は「犬神家の一族」的な水神家の遺産相続争いを解決。

わたしは、初回のシリーズから「これ、おもしろい!」と思って観始めたけれど、シーズン3位で「あれ、つまんなくなって来ている…。」と思い始め、それ以降の映画は「見たはず…」位の曖昧さしか覚えが無く、TVでの特番やスピンオフとかはもう見なかった。で、最近やっぱり映画の宣伝「警部補 矢部謙三2」をやっているのを見てみたけれど、これが本当につまらなかった。そして、近年の「TRICK」と言っても、連続TVドラマとしては2003年が最後で、ほぼ開店休業状態だったけれど、やっぱりもっと早く終えてしまっていれば、「『トリック』おもしろかったよね…」と語られるドラマになっていたのにと強く思ってしまう今回のスペシャル。
それまでは微妙にくすぐる笑いの感じが丁度良いおもしろさだったのに、シーズン3位から製作陣が調子に乗ってやり過ぎな笑いを仕込み始め、それ以降は笑いがグダグダになり滑りまくってしまい、今回のスペシャルも絶句する位笑いが滑りまくり。登場人物に役とは関係無い演じている現実の本人に関係する事を脈絡を言わせるという、シリーズ後期から増え始めた笑いが、まあつまらない。特に今回はやたら多く、こんなにしつこい程入れ込んで来てたっけ?それに「TRICK」だからか、レギュラー以外の役者達の演技が大袈裟過ぎる程わざとらしく演じていて、学芸会の舞台を見ているみたい。飯島直子とか、福士蒼汰の演技は酷いし、朝倉あきもそれまでは良かったのに最後の演技は酷いモンだし、他の人も含め水神家の人々の声が皆馬鹿でかい。常に叫びながら台詞言っているって、何?これって演出の問題?それに加え、音に関しては所々明らかなアフレコ場面があり、尼寺での場面なんて、やたらと声が浮きまくったアフレコばかりで、音関係の人なにやってんの?もしかして、録音データ失くした?
話自体も、「TRICK」って山田と上田の漫才とコントが一番の見所なのに、このスペシャルは始まりから延々と水神家の人々の分かりや過ぎる説明台詞ばかりで、山田と上田は蚊帳の外だし、山田と上田が動き始めても説明ばかりで退屈。終始説明みたいな展開だし、主人公の山田と上田も活躍が薄いしで、トリックらしさが無い。
それに、「TRICK」って事件のトリック自体はしょうもなくて、身近に潜む新興宗教だったり霊感商法やインチキ商法を扱い、人間の心に付け込む悪さを暴くけれどスッキリしないという所がおもしろかったのに、何時頃からか下手に王道的な推理モノ、特に横溝正史的な話に走り初め、始めはそれが何時もとは違う田舎での話として強調される一話になっていたのに、近年ではそればかりで目新しさも無く、しかも話自体上手くも無しおもしろくもないしという悪循環に陥っていた。言葉遊びの謎解きとか物凄くどうでもいいし、本来そこじゃなくて山田のマジシャンという設定を活かした謎解きがおもしろかったのに、それも全く無くなってしまっているし。
制作費が限られた一時間のTVドラマは良かったのに、制作費が多い二時間弱になるとおもしろくないって、完全に「テレビだとおもしろかったのに、映画に行ったらクソつまんない」という最近のテレビから映画への傾向が堤幸彦にも当てはまる。

もう、シリーズ初回から14年も経ってはいるけれど、主役二人仲間由紀恵阿部寛や主要登場人物を演じる人はそんなに歳を取った感じもしないけれど、毎回の始まりの花やしきでの山田のマジックショーに観客がおらず、唯一毎回いる追っ駆けの照喜名保が今回も登場しているけれど、この照喜名保が痩せて髪は白髪で皺の多いおじさん近くまでなっているのを見て、流石に引いたし、もっと早く止めておくべきだったと思ってしまった。何より矢部を演じる生瀬勝久はハゲていないのにズラ被っている役なのに、矢部の部下の秋葉を演じる池田鉄洋のデコの後退が相当危険な状態になって来ているという訳の分からない状態だし。

ただ、「TRICK」特有の変なエロさは今回も健在。仲間由紀恵や阿部寛のエロい感じは毎度だし、国生さゆりとか、虐げられる使用人で幸薄い感じの朝倉あきとか、エロい感じで良い。

本当は初期の頃の感じで、2・3年に一度連続テレビドラマで放送するのが理想だったけれど、最近のテレビ局が「ちょっと受けたドラマは、映画にすれば内容が駄作であれ人が見に来てそれなりに稼げてしまう」という事を覚えた為に、テレビ番組がテレビで完結させる事を放棄したので、「TRICK」も何だかどうでもよくなってしまった感じ。今回の「新作スペシャル3」は酷い出来で、完全に映画に力が入ってお座なりになってしまったとしか思えない。これを見た限りは「『TRICK』は終わるべくして終わった。むしろ、もっと早く終わらせておくべきだった」としか思えない出来だった。
 
 
追記

その後、「TRICK 新作スペシャル2」の再放送をしていたので初めて見たけれど、こっちおもしろいじゃない。ちゃんと科学技術大から山田のアパートへ、そっから田舎町と、お決まりの流れがあるし、下手に下らないギャグをやたらと挟み込んでいないし、山田と上田も主人公しているし、説明場面もそんなでもないし、演技もそんなに大袈裟じゃなかったし。田舎の営業に大金で呼ばれて来て、適当にカラオケ大会の審査委員をしている、まさに秋元康とか、笑ってしまったし。と、思うと、「TRICK 新作スペシャル3」って、最後だからやりたい放題やった為の相当酷い出来だったのか。

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