インソムニア

2014年01月07日 火曜日

ジョージ・クルーニースティーヴン・ソダーバーグ製作総指揮、クリストファー・ノーラン監督、アル・パチーノロビン・ウィリアムズヒラリー・スワンク共演の2002年の映画「インソムニア(Insomnia)」。同じ題名のノルウェー映画のリメイク。
2013年の最後に見た「メメント」に続いてクリストファー・ノーラン監督作。

内務調査から逃げる様にロサンジェルスから高校生が殺された事件の応援に白夜の田舎町にやって来た二人の刑事。犯人を誘い出す事に成功し追い駆けるが、霧が濃いため間違って同僚刑事を撃ってしまい、ベテラン刑事はそれを隠そうとする。それを見ていた犯人は刑事を追い詰める様に接触を図り始める。

始めは結構普通な犯罪捜査モノで、アル・パチーノのキビキビした捜査は良かったけれど、それ程目を引くモノも無く、いまいちな感じは否めなかった。そこから過去の後ろめたさと疑いを避ける為の事故の隠ぺいになり、更に犯人との対面と駆け引きになり、中々おもしろくなって行く。…が、ただ「これぞ、クリストファー・ノーラン」と言った強い個性や特筆する様な話の工夫の部分が無く、アル・パチーノとロビン・ウィリアムズの存在感と演技力が柱というか、ほぼそれだけで出来ている感は強い。脚本が跳ねる感じが無いのは、題名にもなっている「不眠症」という題材から来るモノだとは分かるけれど、それでも終始物事や映像が静かに進み、ガッと掴まれる所が無いまま終わってしまう。
話はいまいちだけれど、掴まれたのは、やっぱりアル・パチーノとロビン・ウィリアムズ。アル・パチーノの黒い革のジャケット羽織った刑事の目力は流石に凄く、前半のテキパキと捜査を進め、証言を取って行くのはおもしろかった。しかし、その刑事としての腕利きの場面は実は相手は高校生だけで、大人の犯人にはやられっ放し。それに、不眠で判断を誤っていると言うよりも、相手に先手を取られているだけだし、良く考えると本当に出来る刑事な気がして来ない。
ロビン・ウィリアムズは何時もの変な陽気なおっさんではなく、抑えた演技で物凄く冴えないおっさんを演じていて、他のコメディで見るあの演技よりも全然良い。だけれど、常に物事の先手を打って行動してしまう超人的な人物なので、この冴えないおっさんとの落差がどうしても気になる。
役者が良いのに、脚本がどうにもいまいち。…と、思ったら、脚本はクリストファー・ノーランじゃあなくて、ヒラリー・セイツという人。この人は他に「イーグル・アイ」も脚本を担当しているけれど、この映画も大作だったのに結構酷い出来だったからなぁ…。

製作陣や俳優は物凄く豪華だし、主要人物も立った良い感じの役が多く、個々の素材は物凄く濃いのに、脚本の弱さで全体的に物凄く薄味。おもしろくなくはないけれど、映画としては微妙過ぎる出来。結局、アル・パチーノの迫力とロビン・ウィリアムズの何時もとは違う役という、役者を見る事がおもしろかった映画。宿屋の主人役でモーラ・ティアニーが出ていたけれど、「アビー、可愛い!!」だったし。
「メメント」で注目されて次の映画でこれだけの人を集めたクリストファー・ノーランは凄いけれど、何でノルウェー映画のリメイクなのか疑問だし、この内容で「行ける!」と思った人達は「?」な所。クリストファー・ノーランがこの映画の次が「バットマン ビギンズ」なんだから、彼の才能を見抜いた人は凄いけれど、この映画の立ち位置って今でも物凄く微妙。

☆☆☆★★

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