ノック・オフ

2013年12月16日 月曜日

ツイ・ハーク監督、ジャン=クロード・ヴァン・ダム主演の1998年の映画「ノック・オフ(Knock Off)」。

イギリスから中国に返還された香港。ジャン=クロード・ヴァン・ダムは模造品販売会社を経営しており、謎の相手から模造品に爆弾を仕込まれる。更に会社の同僚はCIAの捜査官だった事が分かり、共に事件を解決しようとする。

ジャン=クロード・ヴァン・ダム主演のアメリカ映画なはずなのに、場所は香港だし、監督はツイ・ハークで、画面の構図と言い、質感と言い、全く持って香港映画。1998年の映画だけれど90年代の香港映画的ダサさがばっちり。きっちりアフレコの所が所々あるし。
展開も香港映画的に物凄く早い。ただでさえ話は目まぐるしく展開して行き、誰が何の為に殺し合いをしているのか分からなくなって来るのに、演出もカメラの構図を凝り、実験的に遊んでいて、編集は短く繋ぎ、それに付いて行くのも大変で追い着くのが大変。手持ちカメラで素早く上下左右に動かしたり、やたらと前後の寄りが多かったりと、やっぱり香港映画。それに加え、香港映画によくある派手だけれど訳の分からない見せ場もあったりする。序盤の街中を駆け回る人力車競争とか、大仏爆破とか何だろう?やたらとジャン=クロード・ヴァン・ダムの服が破れ、更には服に爆弾が付いているので急いで服を脱ぐとか、この服ギャグは一体何?それに爆発する炎が普通に赤々としている場面もあるのに、所々緑なのも何だろう?
アクションは香港映画だけあって無茶苦茶するし、派手。爆破に大破に銃撃に殴り合いに、何でもあり。仕掛けロケットで爆破とか、二階から自動車で脱出とか。笑えてしまうアクションも香港映画。

このジャン=クロード・ヴァン・ダムは香港映画らしく、非常に軽い人物。珍しくコメディ的で「おっ!」と思うけれど、それも前半だけで、中盤辺りから強張り、笑いもしない何時ものジャン=クロード・ヴァン・ダムになってしまうので、折角の軽い役なのに大して変わり映えがしない。それにいつも以上にアクションの吹き替えが多く、危ない場面や派手に飛び回り、転げ回る場面だけでなく、普通の足蹴りの場面でも明らかに別人だったり、アクション場面は多いのに相当ジャン=クロード・ヴァン・ダム、アクションをサボっている。

ツイ・ハークが監督し、ジャン=クロード・ヴァン・ダム主演で撮った前作の「ダブルチーム」がミッキー・ロークデニス・ロッドマンを揃えたのに出来がそれ程でもなかったからなのか、今度はツイ・ハークの本拠地で本来的な映画を撮った感じの映画。ジャン=クロード・ヴァン・ダム主演というよりも、ツイ・ハークの香港映画にジャン=クロード・ヴァン・ダムが出ている感じ。アクションはジャン=クロード・ヴァン・ダムがしている所は少ないし、別にジャン=クロード・ヴァン・ダムでなくとも、ジャン=クロード・ヴァン・ダムでない方がいいかもしれない映画。でも、香港アクション映画楽しめたら結構それなりに楽しめる。

☆☆☆★★

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