バンテージ・ポイント

2013年10月30日 水曜日

ピート・トラヴィス監督、デニス・クエイドシガニー・ウィーバーマシュー・フォックス共演の2008年の映画「バンテージ・ポイント(Vantage Point)」。

スペインで開かれた国際的な対テロ会議の報告演説で、アメリカ大統領が狙撃され、会場も爆破される。それを中継していたTV関係者、シークレット・サービス、地元警官、観光客、大統領、テロリスト等、関わる複数の人々を別個に見せながら事件の真相と結末を見せる。

行き成りの混乱で幕開け、その後は話が少し進むと別の各人物の話を少し前から見せる様な構成になっており、中々ワクワクする展開と構成で期待を持って見ていた。…なんだけれども、複数人の視点から事件を描き、事件を別視点で見せる事により事件が違って見えるのかと思いきや、暫く見ていると単に事件に関係する人を増やし、それをバラバラに見せているだけの事に気付き、後半に行く程その構成が効いていない事が分かって徐々に微妙になって行く。僅かな証拠から犯人に迫って行くでもなく、真っ直ぐ速攻で犯人は分かり、終始シークレット・サービスや政府関係者が余りに抜けているけれど、結局はデニス・クエイドが活躍するアクション映画になってしまうし、最終的に一つに収束して行く気持ち良さがあんまり無い。見終わって頭の中で繋ぎ合わせると、「あれっ?何だか大した事無いかも…。」と思ってしまう。
登場人物も始めに何か関わって来るであろうシガニー・ウィーバーは結局特に関係する事も無く中盤以降全然出て来ないし、地元警察のエドゥアルド・ノリエガは別に要らなくてもいい役回りだし、中途半端な人物が結構いて、そこでも微妙な感じがある。何よりフォレスト・ウィテカーが恐ろしい程の何かの異変に対する嗅覚の持ち主で、ベテランのシークレット・サービスよりも異変に気付き、事件の大体の関係者や出来事をビデオでちゃんと撮影しているという都合の良さはどうなの?と思いながら見ていた。フォレスト・ウィテカーが全てを先回りして見ているので、普通の人なのに彼の超人的活躍に笑ってしまった。それにあの少女があそこに行くとか、都合良過ぎ。全体的に無理に収束させようと人物を集めた為に都合良過ぎ感は否めない。結局は脚本の詰めの甘さに繋がる。
この映画の脚本家のバリー・レヴィって、この映画とアメリカでは2013年公開のハリソン・フォードゲイリー・オールドマンが出演している映画「パラノイア(Paranoia)」位しか担当していない様だけれど、一体何者?しかも、この「パラノイア」も評価が低い様だし…。

この映画、始まりのワクワク感は強いのに、別人の話になる度に「またか…。」感が出て来てしまい、違う視点からの物語ではなく、結局は同時刻の別人の行動を個別にまとめて見せているだけなので、この構成が効果的でなかった事に早い段階で気付いてしまうのは痛い。それぞれを時系列順に見せ、中盤で狙撃と爆破を見せて、そっから一気にアクションに持って行っても良いんじゃないか?むしろそっちの方じゃないのか?と思ってしまう。一味違った工夫を狙ったのは分かるけれど、それが余計な工夫になってしまった感じ。流れを良くする為に都合の良い展開もやり過ぎた感じ。

☆☆★★★

« | »

Trackback URL

Leave a Reply