衝撃!アメリカンプロレス『TNA』

2013年03月01日 金曜日

今年の1月からCS放送の日テレG+TNAの「IMPACT Wrestling」の字幕放送「“衝撃!”アメリカンプロレス『TNA』」が始まり、「うわっ!日本でTNAが見れる!」と驚いていた。そして、2月に無料放送で初回放送から…と言っても、アメリカでの途中からの2012年末からの放送だけれど、数回放送していたので見てみた。

どうしてもWWEと比べてしまう所だけれど、お金と人手をかけ、かける事が出来る大企業のWWEの演出の派手さに比べたら地味だし、団体の小ささが出てしまう。会場もそんなに大きくないし。それでも日本の団体と比べたら演出はしっかりしているし、派手さもあって中々楽しい。
TNAは以前は六角形のリングだったそうだけれど、現在は四角で、リングの大きさもWWEよりも一回り小さく、観客との仕切りも鉄柵、リング周りに実況・解説席が無い、流石に「Let’s Get Ready To Rumble!」とは言わないけれど、レスラーが入場してから選手紹介するし、TV王座もあるし、始まりは天井の花火から始まるし、かつてのWCWを見ている様。そこの部分も加わって、結構ワクワクする楽しさがある。

参加しているレスラーも、元WCWの人達は現在はハルク・ホーガンスティング位だけれど、以前はリック・フレアーケビン・ナッシュスコット・ホールリック・スタイナースコット・スタイナーダイヤモンド・ダラス・ペイジブッカー・Tレックス・ルガーバフ・バグウェル 、コナン、バンピーロといった、WCW黄金期の人々がレギュラー、参加していて、まさにWCWの後継団体の感も。
それに加え、現在だとカート・アングルロブ・ヴァン・ダムジェフ・ハーディーチャボ・ゲレロブリー・レイ(ババ・レイ・ダッドリー)、ディーボン(元ディーボン・ダッドリー)など元WWEの人達も出ていて、結構豪華。
しかし、それ以外のTNA生え抜きの選手になると「誰?」状態。WWEは漫画的なギミックをはっきりと付けても非常に分かり易く売り出すのに対して、TNAは一目で見て分かる感じでもないので、見慣れるまで手探り状態。突然登場したこの人の名前は何で、対立構造や関係性もどうなっているのかもさっぱり。名前だけ聞いた事あるけれど顔は知らず、「彼がAJスタイルズかぁ…」位の理解度。
それを補う為に、番組の終わりに西口プロレスの人々の座談会風解説番組が付いて来る。だけれど、わたしは東京ダイナマイトは好きな方(なあ!みんな!)だけれども、非常にまったりで、「大喜利するなら関連する映像見せてよ…」と言う感じ。本来なら、これまでの映像を使って登場人物紹介や、近年の人間関係・抗争関係をまとめた物を流すべきなんだろうけれど、多分番組自体のお金のかけられなさ、契約的に映像の使用が出来ないとかでこんな感じになっているのだろうと思われる。

現在はベビーのジェネラル・マネージャーのハルク・ホーガンは、黒いバンダナと髭はNWO時代のハリウッド・ハルク・ホーガンだけれど、衣装は赤と黄色で「HALKAMANIA」と入っている良いとこ取り仕様。ただ、ハルク・ホーガンの入場曲がNWOの曲っぽいけれど、ちょっと違う編曲で気持ち悪い。それと観客の彼へのチャントが日本語的には「ホーガン!ホーガン!」なんだけれど、発音と抑揚が完全に「方言!方言!」なのも笑ってしまう気持ち悪さ。実の娘ブルック・ホーガンも女性部門を仕切る役回りで、ブリー・レイとの恋愛で父親と揉めると言うリアリティーショーで有名になった彼女らしい役回りと、ステファニービンスみたいなストーリ展開に。ハルク・ホーガンが真面目に番組を仕切ろうとするGMで、更に娘が心配な良い父親ってのが、何かおもしろい。

何と言っても、2013年にスティングを日本のTVで見れるのが一番嬉しい。わたしの中では、アメリカンプロレスの象徴はスティング。そのスティングが現役で、しかも大きな声援を浴びて活躍してるんだからたまらない。TNAのサモア・ジョー、WWF生え抜きだったカート・アングル、WCWのスティングの並びは物凄い不思議な感じ。更にスティングとハルク・ホーガンの並びなんて、アメリカンプロレスの黄金期の一時代WCWのNWO時代の「マンデー・ナイトロ(Monday Nitro)」を見ている様。しかも、この少し前にはリック・フレアーも参戦していたので、WWEの流れとは違う、もう一つのアメリカンプロレスの伝説が再び集まっているんだから、1990年代後期のアメリカンプロレスのおもしろさの衝撃を受けた世代にはたまらなさ過ぎる。
それに対立構造が、ディーボン引きる無法者軍団エイシズ・アンド・エイツに復讐を謀り、黒バット持ってリング上から彼らに吠えるスティングなんて、NWOとの抗争がよぎりまくってしまう。

試合としては、WWEの様に身長が180cm代がそれ程大きくもない様な大きな選手ばかりという訳ではなく、TNAはそれ程重量級が主軸ではなく、オースチン・エリーズの様な175cm位の身長の選手がヘビー級王座戦線に絡んでいるし、WWEの様に使用禁止技があって技を繰り出すと言うよりはお互いに合わせに行っている感じでもなく、スープレックスやパワーボム系統の技も出して試合展開的にも早いし、結構日本のプロレスに近くて、試合はおもしろい方じゃないかなと思う。

TNAの女性部門「ノックアウト」はちょっと笑ってしまった。WWEよりも、よりエロを強調した感じで、皆半ケツ気味。見た目もちょっとギトッとした濃い感じ。何より審判の女性の格好が、ピッチピチの短い白黒の縦じまシャツに、これまたピッチピチの短パンで、選手よりも審判の方がエロいと言う…。でも、WWEよりもしっかりプロレスしている。

試合の合間に舞台裏の様子も流すのだけれど、これの映像が「手持ちカメラで少しブレさせながら、早くグッと寄ったり引いたり」という、近年の流行の如何にもな安っぽい演出で、ちょっと残念。

あとおもしろかったのは、金網戦はカメラの映像的に邪魔になるから、コーナー付近の金網が一部切り取られ、その穴の外からカメラで撮影していた事。リングと観客席が近いので、金網内にカメラマンが動ける余白がないからの策だけど、結構中途半端な閉じ込め。
それとWWEでは「TNA」と言うのは禁句のはずだけれど、TNAでは普通に「WWE」と言っていたし。

日本語字幕の放送で微妙なのは、選手入場の呼び込みのリングアナウンサーの字幕や、途中に入る次回ペーパービューも字幕が全く無い事。しかも試合の実況・解説も行き成り数秒間字幕が無くなったりも。

TNAはメジャー団体なのかもしれないけれど、番組的な引き付けや規模で言えばWWEとの差は大きい。しかし、ちゃんとプロレスしているし、ハルク・ホーガン、カート・アングル、ジェフ・ハーディー、何と言ってもスティングと言った大物が見られるので、ちょっとこれから見てみたい気になった。
YouTubeにTNAの公式チャンネル「TNA IMPACT WRESTLING」があり、「IMPACT Wrestling」の各試合や場面のさわりがあるので、これで見てみようかしら?

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