マンハッタン無宿

2013年01月21日 月曜日

後に映画「ダーティハリー」を当てる事になる二人、ドン・シーゲル製作・監督、クリント・イーストウッド主演の1968年の映画「マンハッタン無宿(Coogan’s Bluff)」。

テキサスではなく、アリゾナの無茶をする保安官がニューヨークに犯罪者を引取りにやって来る。しかし、護送中にあっさり逃がしてしまい、ニューヨークの刑事達をほったらかして捜査し始める。

「マンハッタン無宿」と言う題名からして、てっきり西部劇かと思っていたら、現代劇。始まりも荒野でネイティブ・アメリカンっぽい人との銃撃戦から始まるけれど、基本は都会に慣れていない田舎の保安官が都会で犯罪者を静かに追っかける展開。これが地味な上、全然おもしろくない。ダラッと話が進み、犯人を追う緊張感も無い。しかも、アリゾナ人が都会に来ているという事が話の軸でもあるのに、話のほとんどが安っぽいセットの室内場面ばかりで都会感が全然無い。室内での場面は、こちらの前面の壁が無く、天井も見えず、きっちり照明が当たり、余りにスタジオセット過ぎて安っぽいTVドラマを見ている感じ。そんなセットばかりの場面が続いて、見ていても窮屈さと安っぽさしかない。

ドン・シーゲルとクリント・イーストウッドとなると「ダーティハリー」的ハードボイルドを期待してしまう所だけれど、このクリント・イーストウッドは序盤からグイグイ女性に行き、向こうが乗り気でも無いのにキスしまくりな女ったらし。なのに、それ以降はその人物設定も活かされる訳でなく、結構寡黙な一匹狼という在り来たりな人物でしかないし、どうにもクリント・イーストウッドの魅了が潰されている感じ。
格闘場面も終盤まで無く、それも結構もっちゃり。カット割りの繋ぎもよくないし、迫力は無い。
あと、音楽がダサい。安っぽい西部劇風。人物が登場したら「♪ジャラン」とか、演出が安っぽい。

これTV映画なら「こんなモンか…。」と思えるけれど、クリント・イーストウッド主演の映画となると、退屈な展開、南部の保安官が都会にやって来たという設定を何ら活かしていない展開、都会なはずなのに安っぽいセットばかりの場面、アクションがほとんど無い、クリント・イーストウッドでなくても、むしろクリント・イーストウッドじゃあない方が良いのではないかと思える主人公の設定等々、駄目な部分しか見えて来ず、「ダーティハリー」を作った二人にしては酷い出来。

☆★★★★

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