荒野の用心棒
2013年01月20日 日曜日セルジオ・レオーネ監督、クリント・イーストウッド映画初主演の1964年のマカロニ・ウェスタン(Spaghetti Western)「荒野の用心棒(A Fistful of Dollars)」。
黒澤明監督の映画「用心棒」を非公式に、勝手に西部劇に置き換えた映画なので、基本的に「用心棒」と同じ様な設定と展開。二つの犯罪組織が対立する寂れた小さな町に、名も無き男クリント・イーストウッドがやって来、二つの勢力間を上手く行き来し立ち回りながらお互いを疑心暗鬼に駆られさせ、対立させ、壊滅させて行く。
何と言ってもクリント・イーストウッドのカッコ良さに尽きる。クリント・イーストウッドは寡黙ながら、結構小粋な台詞をかまし、役得でもあるけれどクリント・イーストウッドの魅力が出まくり。ニヒルで、良い奴なのか、単なる頭を使った火事場泥棒的小悪党なのかも分からない役をピッタリと演じている。それに「用心棒」の三船敏郎と同じく、自分の髭スリスリもしている。クリント・イーストウッドはまだ34歳で、それにしては渋くてカッコ良い。ワサッとした髪型と無精髭で、横顔はヒュー・ジャックマンが似ている。
低予算のマカロニ・ウェスタンなので、銃を撃ったから倒れるという決め事的銃撃場面なので、どうしても銃撃場面が迫力や現実味の欠ける部分ではある。それに銃の間合いがいまいちピンと来ない所もあるので、距離や間合いの取り方で緊張を持って見せる訳でもなく、一瞬の撃ち合いでも弾数が多かった方が勝ち的なザックリとした強さなので、いまいち興奮は出て来ない。ただ、鉄板で撃たれても死なない男は「バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3」でも出て来た有名な場面で、やっぱり印象に残る。
それと、影が地面に伸びでどう見ても昼日中なのに、カメラの絞りを絞って暗くしたから夜ですよ…と言うのはどうしても違和感。
確かにクリント・イーストウッドが良いし、内容もおもしろいし、良く出来ている映画ではあるのだけれど、「用心棒」を先に見、「凄い!!」と思っていると、どうしても「上手い事時代劇を西部劇に置き換えたなぁ…。」と言う二番煎じに対する感想が先に来てしまう。刀の間合いの取り方、詰め方に唸るおもしろさを感じてしまうので、どうにも銃での撃ち合いは弾の当たりが見えないので大雑把に感じられてしまう。
この映画がおもしろいのは、やっぱり「用心棒」が良く出来た映画だからで、だからのこの勝手にリメイクなんだろうな。この映画を見たら「用心棒」が見たくなって来た。
☆☆☆★★