十七人の忍者

2013年01月14日 月曜日

里見浩太朗主演の1963年の時代劇「十七人の忍者」。

江戸時代、二代将軍秀忠の命も尽き様としている時、家光の弟忠長が謀反の動きを見せた為、老中は伊賀忍者に忠長達の連判状を奪って来る事を命じる。

題名通り十七人の忍者が揃い、「登場人物多過ぎじゃない?」と思っていたら、始まって十分位で城に忍び込むけれど次々と死んで行き、別に十七人である必然性は全く無い。しかも、向こうも忍者を雇い鉄壁の警備をしている城なはずなのに、結構簡単に忍者達が城の中枢部まで潜入出来てしまい、だけれどあっさり殺され、ほぼ搖動作戦なので、凄いけれど間抜けな感じが。
話も如何にして城に忍び込むか、敵を謀ってかわすかが見せ場ではなく、むしろ敵方の忍者の老中達との軋轢や、攻めて来る忍者達が何を考え、どう行動して来るかを見抜く方がおもしろく、そちらが主題の様な描かれ方。その敵の根来忍者の近衛十四郎が、見た目も演技も濃く、一人目力が半端無い一方、主役で話を引っ張るはずの里見浩太朗は全然薄味で、誰が主役なのか分からなくなって来る。

忍者だけれど魔法の様な忍術なんて使わず、基本的に隠密、諜報員。なんだけれど、ルパンの様に覆面を剥いで素顔を出したのには笑ってしまった。変な所に娯楽性出して来ている。

気になるのは夜の撮影。セット内では暗く、夜に見えるのだけれど、外での撮影は普通に明るくて、夜の場面が続いているから夜だと思うけれど、その一場面だけ見れば全然昼と言っても過言でも無い。

変にファンタジーしない、実際の隠密である忍者として描いてはいるのだけれど、その隠密行動が見ていてもこちらが成程と思える様な計略や出し抜きがほとんど無いし、非常に地味。敵の忍者の個性と存在感、役柄としての強さばかりが目立ち、主役である十七人の忍者達がバッタバッタと死んで行くので、こちらが脇役の様な感じもしてしまう。全体的に硬派な忍者モノとして中々良いのに、この敵の近衛十四郎の濃さが全てを喰ってしまい、主軸がぶれ、まとまりが解けてしまった感じが強い。

☆☆★★★

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