人生万歳!
2012年12月23日 日曜日ウディ・アレン監督・脚本の2009年の映画「人生万歳!(Whatever Works)」。
歳を取り上手く行っていた結婚も離婚し、落ちぶれた物理学者が若い女性に惚れられるという、まあウディ・アレン映画。
行き成り主役のラリー・デヴィッドが観客に向かって話し出すメタフィクションをするのだけれど、単にウディ・アレン的台詞回しをやりまくる為だけの構成にしか見えず、効果的かと言われればそうでもなく、この説明台詞の連続は結構押しつけがましい。この主人公は友人達に普通に何でも沢山話す人物なのに、更にわざわざ観客に向けて心情を語る意味が分からない。
この主人公がウディ・アレン映画の何時もの、インテリで愚痴ばかりで喋りまくるという役で、これこそウディ・アレンが演じたら良いんじゃないかと思える役。ただ、ウディ・アレンじゃあないので癖はより少ないし、新鮮味と言う部分ではあるけれど、どうしてもラリー・デヴィッドはウディ・アレンに見えて来てしまう。
恋愛話も、自分にちょっと優しくして興味を持ってもらったから、禿げ上がった文句しか言わないおじいさんに惚れてしまうという、ウディ・アレンの何時ものオナニー感ばかり。
ウディ・アレンの映画でよく見る、自分が気にしている若い女性が新しい男と出会うと直ぐ「殺人鬼かもしれないぞ。」と言う台詞が今回も。まさにこの映画はそれが象徴している様に、今まで作って来た内容を少し味付けを変えた位の変わり映えの無い映画。今までの映画の要素詰め込み、それを薄めるだけ薄めてその隙間を台詞で詰め込んだ感じ。
1970年代の「アニー・ホール」は物凄くおもしろい映画だったのに、それ以降はそれと似た様な、しかもそれを物凄く薄めた様な映画ばかりで、何でこんな同じ様な映画ばかり量産するのだろうか?ウディ・アレンとスティーヴン・セガールって、映画の方向性も、評価と評価する人も対極だけれど、非常に似た匂いを感じてしまう。
☆★★★★