近距離恋愛

2012年11月16日 金曜日

パトリック・デンプシー主演の2008年の恋愛映画「近距離恋愛Made of Honor)」。

女性を取っ替え引っ替えやりまくりな男が、大学からの付き合いだけれど男女の関係には至らない親友の様な女性ミシェル・モナハン。彼女が大事な女性だと気付くけれど、彼女は行き成り知らない結婚相手を連れて来て、悔しくてしかたないので何とかこっちを振り向かせようとし始める。

普段は何気無い関係で気付かないけれど、離れたり、会わない期間が長いと大事な存在だったと気付き、別の男性と結婚する事になったから取り返してやるという、「隣の芝は青い」的な頭の悪さもあり、話もまあ在り来たり、予想を悪い意味で裏切らない展開しか見せない。始まりからして、一幕男女のやり取りがあり、オープニング・クレジットは女性の歌と共に朝の町の様子を次々と映して行き、そこから主人公のアパートメントを映すなんて、これを見ただけでベタな映画でしかないんだろうなと予想できてしまう。悲しい場面では悲しい歌を流すし、上手く行きかけた途端誤解から良くない方向へ行くけれど、結局は上手く行くという、恋愛映画ではこれしかないのかと思える毎度の展開だし。
一番の問題は主人公のパトリック・デンプシーが何でモテるかがさっぱり分からない事。40過ぎのおっさんで、そんなにカッコ良い訳でも無いし、その割に女性に対してまめでもなさそうだし、職業が何なのかも分からないし、女性が向こうから寄って来るだけだしで、突っ込みを無視する様な、あくまでラブコメの登場人物。

それに初めの方はコメディ少々の恋愛モノだったのに、中盤辺りからコメディ色が強くなり、その笑いが見事につまんなく、外しまくり。酷くて絶句したのは、彼女の友達達の登場場面で「キル・ビルのテーマ」を使ってしまう所。安いTVのバラエティ番組なら使う人もいるだろうけれど、映画で受け狙いで「キル・ビルのテーマ」を使う監督のポール・ウェイランドの感覚って…。2008年のハリウッドの製作陣には大うけ!…なんて事はないだろう。この場面をカットせずに使った製作陣は凄い。

主役を演じるパトリック・デンプシーは、この映画の前作が「魔法にかけられて」で、それでは真面目な子持ちの中年男性を演じていたけれど、今回はそんな人物とは正反対な人物を演じていて、全然別人に見える。それと、パトリック・デンプシーは10代にジャグリングばかりしていたらしく、この映画の中で無駄に、無意味に皿を投げて、ここぞとばかりにジャグリングを見せつけている。

原題「Made of Honor」は花嫁の付添人・介添人で、邦題の「近距離恋愛」って普通の恋愛でしかないじゃん。微妙な邦題。

この映画、パトリック・デンプシーがミシェル・モナハンを自分に振り向かす話なのに、題名通り付添人の要素が入って来て、そこを膨らますのかと思いきや中途半端な見せ方だし、別にスコットランド行かなくてもいいじゃんなそこの膨らまし方だしで、パトリック・デンプシーが決心してからがグダグダと長く、キビキビと展開させ笑いも入れれば一時間強で十分な内容。男性の付添人という一着想で話を作ろうとしたけれど、どうにも伸びが無いのでスコットランド要素を入れ込んだ感じは否めない。しかし、実際には付添人さえしないという展開。
この映画、主役二人が30過ぎ、パトリック・デンプシーが40過ぎのおっさんでこの内容ではキツイ。まだ高校からの友人で20代半ばなら、それなりに見れたのかもしれないけれど。

☆☆★★★

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