シェイド
2012年08月21日 火曜日「ロッキー」シリーズに続き、シルヴェスター・スタローンが出演しているけれど、主演はスチュアート・タウンゼントの映画「シェイド(Shade)」。
イカサマポーカーで大金を稼ごうとする一味の悪巧み。
問題は全体的な構成の不味さ。この題材で、この流れなら騙し騙されの展開になるはずなのに、それが動き出すのが30~40分してから。それまでは、本編とはあんまり関係無い掴みの展開だった事が分かり、結構興を削ぐ。この掴みが後半活きて来るという風にもならず。後半も騙し騙されも大して無く、一ネタを引っ張って見せる為に爽快さが全然無い。
そして人物の見せ方も不味く、序盤の主役はジェイミー・フォックスで、その後主役になる三人組は始めは脇役なのに、早々にジェイミー・フォックスは退場、それから三人組が主人公となるのだけど、脇役の話を急に中心に持って来た感じにしか思わなくなってしまう。この初めの主人公だったジェイミー・フォックスが、その後の何かの伏線、もしくは実は…と言って登場なら分かるけれど、そんな事も一切無い。その主役の三人組、華麗に騙して稼ぐという怪盗的立場にするはずだったと思われるけれど、タンディ・ニュートンが一人強盗的なので、その華麗さが削がれている。
それに皆が結構間抜け。ジェイミー・フォックスは素直に馬鹿だし、三人組も賢そうに見えるけれど組織に簡単に尻尾を掴まれるし、その組織は金を取り戻す訳でなくただ撃ち殺そうとするし。
落ちも「どうだ!」と言う感じで見せるけれど、初めに一回同じ事をしているので、もう一回見せられても驚きはない。
何よりシルヴェスター・スタローンが伝説のイカサマ師に見えないのが痛い。どうにも勝負の緊張感が出ていない。大きな勝負の微妙な緊張とか、小手先の鋭さとかも見せず、普通なおっさん。オチを見ると、そんな感じでも良い事になってしまうオチだからというのもあるけれど、緊張感の無い勝負は見ていてもつまらない。
そのポーカーの勝負も、始まりで色んなイカサマ技術を映像的に見せるのに、そんなイカサマを使うのは余り無く、そのイカサマを具体的には全然見せもしないし、ポーカーの勝負も結局は金を沢山持っていた方が勝ちって、見ていてもしょうも無い。具体的な出し抜きや駆け引きを見せる訳でなく、この後の話では勝たないといけないから何かのイカサマして勝つから勝ちましたなんて、酷い投げっ放し。
シルヴェスター・スタローンは、顔が整形の作り物みたいで若い感じがするけれど、色を付けたのか、染めなかったのか分からないけれど髪の毛が所々白髪が入って、顔とは非常に不釣り合いで違和感ありあり。
シルヴェスター・スタローン以外にも、ジェイミー・フォックス、ガブリエル・バーン、タンディ・ニュートンと渋めの役者が出ているのに、誰もが主人公的に見せかけるけれどその描写は中途半端で、誰も前に出て来ない。
この映画、ポーカーでの勝負を描いているのだけれど、初めにイカサマでどうにでもなるというのを見せてしまったので、勝負に緊張感は無いし、人物を描く配分は不均等で浅いし、ジェイミー・フォックスの結末やタンディ・ニュートンの暗躍が大きく取り上げられるので何かの複線かと思いきや何でも無いしで、非常に脚本がお座なり。設定はそれなりなのに、それを活かす事も無く、ただどんでん返しのオチを見せたいが為に焦って煮詰めなかった感ばかり感じてしまう。
☆☆★★★